Bullet Timeとは? わかりやすく解説

バレットタイム

(Bullet Time から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 09:28 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

バレットタイム英語: Bullet-time)はSFXの一つで、被写体の周囲にカメラをたくさん並べて、アングルを動かしたい方向にそれぞれのカメラを順番に連続撮影していき、被写体の動きはスローモーションで見えるが、カメラワークは高速で移動する映像を撮影する技術、またはその効果を指す。タイムスライスマシンガン撮影 ともいう。また、並べたカメラを一斉に同時撮影すると、被写体は静止ないし低速で動作した状態でカメラアングルが動く映像が作れる(『マトリックス』で「ビルの屋上での銃撃戦で主人公ネオが足に弾丸を受ける」シーン)。

この技術の源流は1870年代にエドワード・マイブリッジが手掛けた、疾走する馬のギャロップを12台のカメラによる連続写真で撮影した技法に求める事が出来る。マイブリッジは同時期に階段を昇降する人間の動きを様々な角度のカメラから同時に撮影する試みも行っており、マトリックスにおけるタイムスライスの原型とも言えるものである。しかし、マイブリッジの多数のカメラを用いた連続撮影技法は、その後マサチューセッツ工科大学ハロルド・ユージン・エジャートン教授が開発したストロボスコープの登場により主流ではなくなっていった[1]

マトリックスの登場以前、セルアニメにおいてはバレットタイムに類似した表現技法は古くから存在していた。その最も早期の事例とされているのが1967年のマッハGoGoGoであり、そのオープニング映像においては、主人公がマッハ号から飛び降りた姿勢で静止し、正面から真横に向けてカメラアングルが移動するシーンが描かれている。

1980年にはen:Bath School of Art and DesignのTim Macmillanが、幾つかの先駆的な映像作品にて16mmピンホールカメラを用い、この技法を使用した記録[2]が残り、1985年にはロックバンドアクセプトのビデオクリップ「Midnight Mover」にて音楽ビデオとしては初めてこの技法が用いられた[3]

この技法は映画『マトリックス』(第1作)で使用された事で話題を呼び、世界中に広まっていったが、マトリックスの特殊撮影を手掛けたen:John Gaetaは、バレットタイムを考案するにあたり大友克洋の『AKIRA』とミシェル・ゴンドリーの手掛けた音楽ビデオにおけるカメラワークが、バレットタイムの芸術的インスピレーションを得る為の参考となったと後に語っている[4]

2000年代前半にはこの手法を取り入れた映画やCMが多数登場したが、この手法の欠点としてある一つのシーンを創る際の準備作業が膨大なものになり、なおかつ現場での柔軟な変更が難しい事が挙げられた。そのせいかマトリックスシリーズでも、二作目以降は、この手法よりも俳優をコンピューターで全身スキャンしてデータとして取り込み、画面の中にCGで再構成させるという方法をかなりのシーンで採用している。

映画「ソードフィッシュ」では「30秒マシンガン撮影」の大爆発シーンが話題を呼んだ。

また、シルベスター・スタローン主演の映画「ドリヴン」でもこの手法を取り入れた爆発映像があったが、カットされてしまった。この映像はDVDのメイキングで鑑賞することができる。

福山雅治の楽曲・『Heart/you』の作品のうち、HeartのPVにもこの技法とマシンガン撮影の両方が取り入れられており、そのシーンは2コーラス目以降の後半部で見ることができる。

また、2000年代前半に日本のプロ野球中継で、「アイ・ビジョン」と名づけられたマシンガン撮影の手法が導入された。東京ドームで導入され、並べられたカメラは「マトリックス」などで使われていたスチールカメラではなく、業務用のビデオカメラであり、リプレイシーンでは映像の再生速度に関係なくアングルが「バレットタイム」のように移動できるということが話題を呼んだが、短期間のみの導入で現在はこの中継法は行われていない。

映像配信方法が取られたMax Payneニード・フォー・スピード モスト・ウォンテッドVirtua Cop 3など、昨今のファーストパーソン・シューティングゲームサードパーソン・シューティングゲームコンピュータゲームにもスローモーション機能として取り入れられており、特に前者は人気を呼んでいる。

脚注

  1. ^ High Speed Camera « Harold "Doc" Edgerton” (2009年11月28日). 2009年11月28日閲覧。
  2. ^ Video of Tim Macmillan Early Work 1980 - 1994 on Vimeo
  3. ^ ACCEPT Remembered - Discography - Metal Heart
  4. ^ “200 Things That Rocked Our World: Bullet Time”. Empire (EMAP) (200): 136. (February 2006). 

Bullet Time (Dagan Potter)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:55 UTC 版)

3DCGソフトウェア」の記事における「Bullet Time (Dagan Potter)」の解説

3ds Max用のBullet Time再現スクリプト

※この「Bullet Time (Dagan Potter)」の解説は、「3DCGソフトウェア」の解説の一部です。
「Bullet Time (Dagan Potter)」を含む「3DCGソフトウェア」の記事については、「3DCGソフトウェア」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「Bullet Time」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「Bullet time」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Bullet Time」の関連用語

Bullet Timeのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Bullet Timeのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのバレットタイム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの3DCGソフトウェア (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS