順徳院兵衛内侍とは? わかりやすく解説

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順徳院兵衛内侍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/19 18:35 UTC 版)

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昆陽池 - 五月雨に小篠か原を見わたせは ゐなのにつゝくこやの池水 - 新後拾遺和歌集 巻第三 夏歌

順徳院兵衛内侍(じゅんとくいんのひょうえのないし、生没年不詳)は、鎌倉時代前期の女流歌人。似せ絵の名手として知られた藤原隆信の娘。中山忠定の妻。

生涯

順徳天皇に出仕し、その内裏歌壇で頭角を表した。記録に残る限りでは、建保2年(1214年)の『月卿雲客妬歌合』が初見となっている。その後の数年間に集中的な活躍を見せるが、承久の乱による歌壇の崩壊と共に文献上からその姿を消した。

逸話

  • 『冬題歌合』[1]は、衆議判を藤原定家が文に書き起こしているが、最終の五十六番「冬夜恋」について、

  五十六番 左 勝                      兵衛内侍
なみだ河袖ゆく水のこほるより うきねのとこの夢はむすばず
  右                           左衛門督忠信卿
たえぬべきみちだにつらき山どりの 尾上の霜にふしやわぶらん
  右歌もことなる難侍らねど 左のことばすがた
  ありがたくえおかしくみえ侍ければ 満座申可為勝之由

— 『冬題歌合』 建保五年
相手にも難点はないが、全会一致で勝ちに決まったほど、絶賛されたことを伝えている。
  • 活動期間が比較的短く、場も限られていたため、残された作品は多くないが、『続歌仙落書』[2]に4首採られて、その魅力的な歌風を賞賛されている。

  風體うつくしきさまにて見どころ侍り
  霜枯の蘆まに鴨のむら鳥の遊ぶをなむみる心地する
  建保四年閏六月日内裏百番歌合に 春を
花の色は盡きじと思ふもゝ敷や おほ宮人の千世のかざしに
  同歌合に
夕暮はなにはのあしびたきそめて こやもあらはに立つ煙かな
  承久元年七月内裏百番歌合に 冬夜月を
貴船川ゆくせの月の氷るよに うへこす玉はあられなりけり
  内裏撰歌合に
忘らるゝ身はうき物と世の中に 思ひすてゝも行くかたぞなき
  かものゐる入江のあしは霜がれて おのれのみこそあをばなりけれ

— 『続歌仙落書』

作品

勅撰集
歌集 作者名 歌数 歌集 作者名 歌数 歌集 作者名 歌数
新拾遺和歌集 兵衛内侍  1 新後拾遺和歌集 順徳院兵衛内侍  1 新続古今和歌集 兵衛内侍  1[* 1]
定数歌歌合

[* 2]

催事 時期 作者名 備考
月卿雲客妬歌合 建保2年(1214年)9月30日 兵衛内侍 菅原淳頼と番い勝2負1[* 3]
建保名所百首 建保3年(1215年)10月24日 兵衛内侍
内裏百番歌合 建保4年(1216年)閏6月9日 兵衛内侍 飛鳥井雅経と番い勝1負4持5
歌合 建保4年(1216年)8月22日 兵衛内侍 勝1負1持3
歌合 建保4年(1216年)8月24日 兵衛内侍 勝1負3持2
右大臣家歌合 建保5年(1217年)9月 兵衛内侍 勝1負2持3
四十番歌合 建保5年(1217年)10月19日 兵衛内侍 順徳天皇と番い勝4持1
冬題歌合 建保5年(1217年)11月4日 兵衛内侍 坊門忠信と番い勝4負1持2
歌合 建保7年(1219年)2月12日 兵衛内侍 藤原光経と番い負4持2
内裏百番歌合 承久元年(1219年)7月27日 兵衛内侍 久我通光と番い勝3負3持4
私家集
  • 家集は伝存しない。

脚注

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注釈

  1. ^ 詞書に「建仁四年閏六月内裏歌合」とある(『新続古今和歌集』 巻第七 賀歌 00757)のは、建保四年閏六月九日の内裏百番歌合の誤記。
  2. ^ 『続歌仙落書』には、他に『内裏撰歌合に』として一首を挙げる。
  3. ^ 新編国歌大観本の本文中では勝3と読めるが、判詞から見て勝2負1が正しいと思われる。

出典

  1. ^ 『新編国歌大観』 第五巻 〔215冬題合〕111,112
  2. ^ 『新編国歌大観』 第五巻 〔273続歌仙〕114-117

参考文献




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