神野元基
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/25 05:08 UTC 版)
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神野 元基(じんの げんき、1985年 - )は、日本の実業家。学校法人東明館学園理事長及び校長・佐賀市教育ビジョン策定アドバイザー・宮崎市教育CIO・合同会社LINKALL代表・中央教育審議会初中等部会臨時委員ほか[1]。
略歴
生い立ち
1985年に北海道網走市で生まれ、その後も幼少期を網走にて過ごした。幼少期から読書好きで、小学3年生の頃には図書館の偉人伝記を100冊以上読破し、「人間はどう生きるべきか」を追求することを自らの使命と考えるようになった。中学・高校時代は探究心旺盛な性格で、「変わり者」とも評されていた[2]。
学歴
高校卒業後、2005年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(総合政策学部)に進学。在学中に起業活動を開始し、学業との両立が難しくなったため中退。大学時代にはポーカーに熱中し、後に世界大会で上位入賞を果たす。
起業家としての活動
学生起業と電子出版事業
在学中にポーカー関連ビジネス「株式会社PokerFace」を創業。その後、電子書籍の通信販売事業を手掛け、年間4億円の売上を達成。
シリコンバレーでの挑戦
2010年、25歳で単身渡米し、シリコンバレーでWebカメラを用いた感情認識技術を活用したサービス「SmileBacks, Inc.」を設立。しかし、収益化が困難であり、次第に教育分野へと関心を移す。
教育事業(COMPASS社の創業とQubena開発)
2012年に東京都八王子市で学習塾「COMPASS」を開業し、教育ベンチャーの経営を開始。2015年にはAIを活用したタブレット教材「Qubena(キュビナ)」を開発し、学習の個別最適化を推進。Qubenaは数学分野から導入され、通常の学習時間の7~10分の1で修了可能な高速学習を実現した。2016年、「未来ITアワード」教育部門グランプリを受賞。
ポーカープレイヤーとしての経歴
大学時代にポーカーを始め、2006年の「ワールドシリーズ・オブ・ポーカー (WSOP)」に出場し、日本人最高位となる19位入賞を果たした。この経験が彼の戦略的思考を鍛え、後の起業活動にも影響を与えた。
中央教育審議会での活動
2019年、文部科学省の中央教育審議会・初等中等教育分科会「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」の臨時委員に選出。さらに2024年より、2030年から実施予定の学習指導要領改定の特別部会委員に就任。特別部会では、「一方的な学習の禁止」を提唱し、生徒が受け身になる講義型授業の見直しを訴えている。また、生成AI(ChatGPTなど)の活用についても「教育現場に革命をもたらす可能性があるが、個人情報保護や活用ガイドラインが必要」という立場を示している。さらに、特別部会においては教育のデジタル化推進の観点から、学習指導要領の柔軟化やICT活用の重要性を強調している。特に、AIを活用した学習データの分析を通じて個別最適な学びを実現する方針を提案し、全国の教育機関での実践事例を紹介するなど、教育現場への具体的な適用について議論を主導している。また、GIGAスクール構想の本来の目的を再考し、「生徒たちを中心とした新たな学びの形を確立する必要がある」との立場を明確にしている。
学校法人東明館学園での活動
2022年に佐賀県基山町の東明館中学校・高等学校の校長に就任。2023年からは理事長も兼任し、探究学習やICT教育、海外大学進学、校則改革など積極的に導入。さらに、宮崎市の教育CIO(最高情報責任者)として自治体レベルでの教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進にも関与。
メディア出演・評論活動
- TBS系列のRKB『タダイマ!』のレギュラーコメンテーターを務める[3]。
- BS朝日『Fresh Faces ~アタラシイヒト~』第92回 出演[4]。
受賞歴
- 2016年 - 「未来ITアワード2016」教育部門グランプリ(株式会社日経BP『日経コンピュータ』主催)
- 2020年12月 - Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2021」に選出
- IVS(Infinity Ventures Summit) - スタートアップコンテストで2位入賞
著書
- 『人工知能時代を生き抜く子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017年)
脚注
- ^ “神野 元基(じんの げんき)”. 2025年3月2日閲覧。
- ^ “従来の教育のあり方を破壊し尽くす。シリコンバレーで起業していた私が、日本に戻りエドテック(教育×テクノロジー)ベンチャーを創業した理由”. Qubena(キュビナ)/株式会社COMPASS - 学習eポータル+AI型教材 (2018年5月31日). 2025年3月2日閲覧。
- ^ “タダイマ! - RKBオンライン”. rkb.jp. 2025年3月2日閲覧。
- ^ “神野元基 COMPASS代表”. www.bs-asahi.co.jp (1970年1月1日). 2025年3月2日閲覧。
外部リンク
- 神野元基のページへのリンク