有機質肥料活用型養液栽培
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/23 05:29 UTC 版)
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有機質肥料活用型養液栽培(ゆうきしつひりょうかつようがたようえきさいばい)は、農研機構野菜茶業研究所(現在、野菜花き研究部門)の開発した栽培技術である。
概要
通常、養液栽培(水耕栽培)では有機質肥料を用いることはできない。水中で有機質肥料に含まれる有機物が腐敗し、腐敗した水では植物の根も傷害を受けるためである。有機質肥料活用型養液栽培では、培養液中に硝化菌を含む微生物生態系を構築することにより、土壌中と同様、アンモニア化成と硝酸化成を同時並行的に進めることにより、有機質肥料を無機養分化することが可能である。これにより、有機質肥料を培養液に添加しながら養液栽培を実施することが可能になった[1]。
有機質肥料活用型養液栽培で栽培した植物の根には、根毛が密生するという特徴がある。通常、培養液に水没した根(水中根)には根毛が生えないことが経験的に知られているが、有機質肥料活用型養液栽培での水中根には、根毛が密生し、その表面に微生物の群集構造であるバイオフィルムが発達する[2]。
有機質肥料活用型養液栽培では、青枯病、病原性フザリウムによる根部病害を防ぐ効果が知られている。
有機質肥料活用型養液栽培は、2022年2月に特色JASが認められた。その際、有機質肥料活用型養液栽培の別名としてプロバイオポニックスという名称が定められた。微生物を活性化させるプロバイオティックスと、養液栽培を意味するハイドロポニックスを組み合わせた造語である。プロバイオポニックスJAS取得第一号として、福島県飯舘村の生産者が認められた[3]。
有機質肥料活用型養液栽培の技術開発・普及を目指す組織として有機質肥料活用型養液栽培研究会(有機養液栽培研究会、プロバイオポニックス研究会)[注 1]がある[4]。2010年に発足したこの研究会は、研究者、生産者、企業などが参加し、最新の技術について議論を重ねる場となっている。
脚注
注釈
出典
- ^ “有機質肥料活用型養液栽培マニュアル | 農研機構”. www.naro.go.jp. 2025年10月21日閲覧。
- ^ Shinohara, Makoto; Aoyama, Chihiro; Fujiwara, Kazuki; Watanabe, Atsunori; Ohmori, Hiromi; Uehara, Yoichi; Takano, Masao (2011-04-01). “Microbial mineralization of organic nitrogen into nitrate to allow the use of organic fertilizer in hydroponics”. Soil Science and Plant Nutrition 57 (2): 190–203. doi:10.1080/00380768.2011.554223. ISSN 0038-0768.
- ^ “日本農林規格(JAS)「プロバイオポニックス技術による養液栽培の農産物」の新設 | 2021年度 | ニュース | 旭化成株式会社”. www.asahi-kasei.com. 2025年10月21日閲覧。
- ^ “有機質肥料活用型養液栽培研究会”. sites.google.com. 2025年10月21日閲覧。
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