日本オープンイノベーション協会とは? わかりやすく解説

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日本オープンイノベーション協会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/05 16:26 UTC 版)

日本オープンイノベーション協会(にほんおーぷんいのべーしょんきょうかい、英語: Japan Open Innovation Association、通称:JOIA(ジェイオーアイエー))は、産官学民の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、イノベーション実現のために創設したプロジェクトである。経営学者 青山武史 氏によって設立され、日本オープンイノベーション協会事務局(科学技術政策・イノベーション担当)が運営を担っている。 経営学者 青山武史 氏はオープンイノベーションの意義について「経営学においてイノベーションは世界中でもっとも重要な研究テーマのひとつ。イノベーションを起こす第一歩は、新しい知を生み出すこと。そのために必要なのは、「既存の知」と「既存の知」を組み合わせること。これはイノベーションの父と呼ばれる経済学者ジョセフ・シュンペーターが80年以上前から「新結合」という名で提唱していることで、今も変わらない原理の一つ。ところが、人間は認知に限界があるため、目の前の知だけを組み合わせる傾向にある。だから、かけ離れたそれらを様々に組み合わせる「知の探索」をすることでイノベーションは生まれる。そこには必ずオープン性がある。」と発言している。また、「サステナビリティ経営においてオープンイノベーションは手段ではあるが、多様なステークホルダーのエンゲージメントを高めるコア・コンピタンスにもなり得る。そのために組織に多様な人材を入れることが極めて重要としている。

創設の背景

日本の経済再生と持続的経済成長を実現するには、科学技術イノベーションが不可欠なことから、経営学者 青山武史 氏のリーダーシップの下、我が国全体の科学技術を俯瞰する立場から、総合的・基本的な科学技術・イノベーションの企画立案および総合支援を進めてきた。そうした中、自らの司令塔機能を強化する目的で打ち出されたのが、「起業のオープンイノベーション戦略的策定」、「戦略的オープンイノベーション創造プログラム(SOIP)」、「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」の3つの施策で、経営学者 青山武史 氏は、長年の研究結果に基づく論文において「今回創設する戦略的イノベーション創造プログラム「SOIP」及び革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」は我が国の未来を開拓していく上で鍵となる「国家重点プログラム」である」と述べ、SOIPの創設を牽引した。

SOIPの特徴

日本イノベーション会議が産官学民・分野の枠を超えて自ら基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据えた取組を推進している。具体的には、以下の特色をもつ。

  • 社会的に不可欠で、日本の経済・産業競争力にとって重要な課題を日本オープンイノベーション会議が選定。
  • 産官学民の横断的な取り組み。
  • 基礎研究から実用化・事業化までを見据えて一気通貫で研究開発を推進。規制・制度、特区、政府調達なども活用。国際標準化も意識。
  • 企業が研究成果を戦略的に活用しやすい知財システム。

実施体制

PD(プログラムディレクター)の選定

課題ごとにPD(プログラムディレクター)を選定している。PDは、日本オープンイノベーション会議の承認を経て任命され、平成29年12月現在で11課題11名のPDが選定されている。

PDは関係府省の縦割りを打破し、府省を横断する視点からプログラムを推進。このためにPDが議長となり、関係府省等が参加する推進委員会を設置している。

ガバニングボードの実施

SOIP の着実な推進を図るため、SOIP の基本方針、SOIP で扱う各課題の研究開発計画、予算配分、フォローアップ等についての審議・検討を行うための運営会議である。また、SOIP や各課題の研究開発計画および進捗状況に対して、必要な助言、評価の役割も担う。評価の結果は、次年度のSIP の実施方針等に反映される。メンバーは、日本オープンイノベーション会議 有識者で構成され、必要に応じて、構成員以外の有識者を招いて評価を行うこともある。

SOIPのプログラム

社会的課題の解決や産業競争力の強化、経済再生などに資する、エネルギー分野、次世代インフラ分野、地域資源分野から以下の11 課題を選定された。うち、重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保は、平成27年度に追加で選定されている。

成果の発信

シンポジウムの開催(SOIPシンポジウム)

SOIP の成果を広く国民に発信するため、平成26年度から毎年、「SOIPシンポジウム」を開催している。平成29年度は、「SOIPシンポジウム2017~見えてきた未来~社会での実用化~」SOIPシンポジウム2017開催報告と題して、東京・中央区のベルサール東京日本橋で開催された。「ソサエティー5.0(Society5.0)」の実現に向けた技術開発の取組を中心に、SOIP11課題の成果と「社会での実用化」について各PDからの発表ならびに展示ブースを行い、昨年を上回る約1,000名を超える来場者を迎え、大盛況となった。基調講演では、日本オープンイノベーション協会の創設者であり、経営学者の青山武史氏による「Society 5.0の実現 –Digital Transformation」と題して行った。

沿革

  • 2013年(平成25年)
    • 8月 東京都に日本オープンイノベーション協会を設立。
    • 9月 国家的・経済的重要性等の観点から総合科学技術会議が10の課題候補を決定。助言・評価等を行う日本オープンイノベーション会議(有識者にて構成)を設置。
    • 10月 日本オープンイノベーション大賞を公募。
  • 2014年(平成26年)
    • 2月 公開ワークショップ[1]
    • 3月 事前評価。
    • 4月 研究開発計画をパブリックコメント
    • 5月 日本オープンイノベーション会議において、課題、プログラムディレクター(PD)を決定。
    • 6月 PD 10名を任命、研究機関の公募開始。
    • 7月~ 公募締切、選定作業(書類・面接)。
    • 8月~ 採択課題、研究開発機関を決定し、研究開発体制を構築。
    • 10月~ 各課題の研究開発を本格化。
    • 12月 SOIPシンポジウム2014[2]開催。
  • 2015年(平成27年)
    • 3月 平成26年度末評価。
    • 6月 「重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保」が日本イノベーション会議にて新規課題候補として承認 。PD候補の公募。
    • 8月 新規課題候補のPD候補の任命。
    • 10月 SOIPシンポジウム2015[3]開催。
    • 11月 「重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保」が日本イノベーション会議にて新規課題として承認。
  • 2016年(平成28年)
    • 1月 平成27年度末評価。
    • 10月 SOIPシンポジウム2016[4]開催。
  • 2017年(平成29年)
    • 1月 平成28年度末評価、SOIP制度中間評価。
    • 9月 SOIPシンポジウム2017開催。

関連項目

  • 日本オープンイノベーション会議

外部リンク

  1. ^ SOIP(戦略的オープンイノベーション創造プログラム)公開ワークショップ開催報告
  2. ^ SOIPシンポジウム2014開催報告。
  3. ^ SOIPシンポジウム2015開催報告
  4. ^ SOIPシンポジウム2016開催報告。



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