幻想曲 作品28 (メンデルスゾーン)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/16 04:30 UTC 版)
幻想曲 嬰ヘ短調 作品28, MWV U 92 は、フェリックス・メンデルスゾーンが作曲したピアノのための幻想曲。『スコットランド風ソナタ』(仏: Sonata écossaise)という愛称でも知られる。
概要
メンデルスゾーンは多くの19世紀ドイツの音楽家同様にスコットランドに憧れを抱いており、彼が1829年の夏季に現地へ足を運んで得られた霊感が『交響曲第3番 イ短調《スコットランド》』(作品56, MWV N 18)や演奏会用序曲『フィンガルの洞窟』(作品26, MWV P 7)といった作品として実を結んでいる[1]。一方、メンデルスゾーンが家族へ宛てた手紙から、本作は1828年か、もしくは1829年の初頭には書き始められていたと考えられている[1][2]。従って、曲が構想されたのはスコットランド訪問以前ということになるが、かねてよりスコットランドへの憧憬を募らせていた彼はウォルター・スコットの作品を読むなどすると同時に[1]、流行していたスコットランド舞踊に触れていた。本作にもスコットランドの舞曲が用いられている[2]。
曲はその後に改訂を経て1833年1月29日に全曲の完成を迎えており[2]、この時にはフランス語の "Sonata écossaise" という表題が掲げられたままであった[1]。楽譜は1834年にボンで発表されることになり、出版に際して表題が撤回されることになった[2]。
本作は次第に速度を上げる3つの楽章から構成されており、全体の構造並びに短調の採用からはベートーヴェンの『ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調《月光》』が想起される[2]。かつてベートーヴェンも自作を「幻想曲風ソナタ」( "Sonata quasi una Fantasia" )と題し、ピアノソナタと幻想曲の境界に挑んだのであった[1]。とはいえ、本作の素材にベートーヴェンのソナタと似通ったところはない[2]。
楽曲構成
曲は切れ目なく演奏される3つの楽章から構成される。演奏時間は13~14分。
- 第2楽章 アレグロ・コン・モート
- 第3楽章 プレスト
出典
参考文献
- CD解説 Todd, R Larry (2014) Mendelssohn: The Complete Solo Piano Music, Vol. 2, Hyperion records, CDA68059
- 楽譜 Mendelssohn: Fantasie Op.28, Breitkopf & Härtel, Leipzig,
外部リンク
- 幻想曲 嬰ヘ短調 作品28『スコットランド風ソナタ』の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- Palmer, John. 幻想曲 作品28 - オールミュージック
- 幻想曲 作品28 - ピティナ・ピアノ曲事典
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