実力も運のうち 能力主義は正義か?
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実力も運のうち 能力主義は正義か?(原題: The Tyranny of Merit: What's Become of the Common Good?)は2020年出版のマイケル・サンデルによる書籍。努力して高い能力を身につけた者が社会的成功を手にする"メリトクラシー"に潜む弊害について論じた。
概要
メリトクラシー (meritocracy) とは、メリット(merit、「業績、功績」)とクラシー(cracy、ギリシャ語で「支配、統治」を意味するクラトスより)を組み合わせた造語である。イギリスの社会学者マイケル・ヤングによる1958年の著書『Rise of the Meritocracy』(伊藤慎一訳 『メリトクラシーの法則』)が初出。個人のあげた功績や価値といったメリット(merit)に基づいて、人々の職業や収入といった社会経済的地位が決まるしくみを持つ社会を意味する。本書では能力主義と訳されている。
家柄などで地位が決まる前近代的なアリストクラシー(貴族制)と比較し、生まれや階級が不利であっても"努力"や"高い能力"があれば良い地位を得られるメリトクラシーは、より公正で望ましいものであると広くみなされている。しかし、サンデルは本書でメリトクラシーがいかにして支配的になり、またその広がりがどのような弊害が生じさせたかについて論じている。
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