冠軍侯とは? わかりやすく解説

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冠軍侯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/04 18:09 UTC 版)

冠軍侯(かんぐんこう)は、紀元前2世紀と紀元前1世紀の中国、前漢の時代にあった列侯である。霍去病とその子孫が封じられた。『史記』によれば冠軍侯は霍去病とその子、孫の3人、『漢書』では孫が冠陽侯になったため冠軍侯は2人である。封地の冠軍県は南陽郡に属したが、王侯の封地は国と呼ぶので、冠軍侯がいたときには冠軍国といった。

解説

元朔6年(紀元前124年)4月壬申、匈奴との戦争で功績があった霍去病がはじめて冠軍侯に封じられた[1][2][3][4]。封戸は1600戸[2]。侯の名は封地からとることが多いが、冠軍は、全軍の中でもっとも優れているという意味からとられた[4]。霍去病は元狩2年(紀元前121年)春に匈奴と戦って大勝し、2200戸を増した[5]。夏にも戦って勝ち、5400戸を増した[6]。この年に匈奴の昆邪王(渾邪王)の降伏を受け入れた功績により、1700戸を増した[7]。翌年の元狩3年(紀元前121年)にまた出撃して、戦功により5800戸を増した[8]。霍去病は元狩6年(紀元前117年)に死に、景桓侯と謚された[9]。封戸の合計は1万6700戸である。

元鼎元年(紀元前116年)、子の霍嬗が冠軍侯を嗣いだ[1][10][3][9]元封元年(紀元前110年)に死に、哀侯と謚されたが、子がないため国を除かれた[1][10][3][9]

地節3年(紀元前67年)に宣帝が、先祖の功績に報いるという理由で、霍去病の嫡孫霍雲を3000戸で冠軍侯に封じた[1][1]。以上は『史記』の記述で、『漢書』には、前年に亡くなった大将軍霍光の兄の子であるという理由で、同年4月戊申に1800戸で冠陽侯に封じたとあり、理由と戸数と侯の名が異なっている[3][11]。前年には霍雲の兄の霍山が霍光の遺言で楽成侯になっており、兄弟がともに列侯となった[1][11][3]。 地節4年(紀元前66年)7月に謀反に坐して自殺し、国を除かれた[1][12][3][13]

冠軍侯の一覧

系図

左が兄、右が弟。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1.霍去病
 
 
 
 
 
霍光
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2.霍嬗
 
 
(男)
 
 
霍禹
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
霍山
 
3.霍雲

脚注

  1. ^ a b c d e f g 『史記』巻20、建元以来侯者年表第8、冠軍。
  2. ^ a b 『史記』巻111、衛将軍驃騎列伝第51。ちくま学芸文庫『史記』7の228頁。
  3. ^ a b c d e f 『漢書』巻18、外戚恩沢表第6、冠軍景桓侯霍去病。
  4. ^ a b 『漢書』巻55、衛青霍去病列伝第25。ちくま学芸文庫『漢書』5の257 - 258頁。
  5. ^ 『漢書』巻55、衛青霍去病列伝第25。ちくま学芸文庫『漢書』5の259頁。
  6. ^ 『漢書』巻55、衛青霍去病列伝第25。ちくま学芸文庫『漢書』5の260頁。
  7. ^ 『漢書』巻55、衛青霍去病列伝第25。ちくま学芸文庫『漢書』5の262頁。
  8. ^ 『漢書』巻55、衛青霍去病列伝第25。ちくま学芸文庫『漢書』5の265頁。
  9. ^ a b c 『漢書』巻55、衛青霍去病列伝第25。ちくま学芸文庫『漢書』5の267頁。
  10. ^ a b 『史記』巻111、衛将軍驃騎列伝第51。ちくま学芸文庫『史記』7の237頁。
  11. ^ a b 『漢書』巻68、霍光金日磾伝第38。ちくま学芸文庫『漢書』6の136頁。
  12. ^ 『漢書』巻8、宣帝紀第8、地節4年秋7月。ちくま学芸文庫『漢書』1の245頁。
  13. ^ 『漢書』巻68、霍光金日磾伝第38。ちくま学芸文庫『漢書』6の143頁。

参考文献

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