伊丹公子とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 人名 > 作家 > 歌人 > 歌人 > 伊丹公子の意味・解説 

伊丹公子

伊丹公子の俳句

りんご酒発酵 夜航機いく条かの闇に
ピラニアの浮沈の隣り 会談なお
中天に繁忙の窓 聖夜前
人声のあざやかに立つ 遠流の町
何の風か湧く 電流あおい地下画廊
優雅に受ける 黄金象嵌の目の殺気
古代の館に シャトルが着いた 鳥になる
古式の滴りいまも 洞窟で声失う
噴水まで 水中歩く 春の園丁
夏は老いた かさりかさりと黍の村
夏至の戦ぎのポプラ一本 廃工場
夏草の滅びの由緒 記念碑かこむ
大時計に雨が映つて 田舎の駅
太陽神ラァに会う 森の深い部屋
女の起居 八方映る 梅雨の家
女神の神霊宿すは 正装耳輪の猫
寒の金魚 盲目のように芝へ向く
寒む寒む虹が懸つて 終日見られる犀
幽囚史など知らぬ町びと 貝を売る
思想までレースで編んで 夏至の女
捨て萱焼く 未明湖北の大事な火
方途のない蝶に 石仏の胸あかるむ
昆虫館員の背で モルフオ蝶消えはじめる
朴の木までの同行 伐採の若者と
村の寡黙へ 馬鈴薯畑の蛙とぶ
枯蔦の隙間 編物教室の手の類型
梅林に目眩み 果てもない日常
水槽番に魚が口あけ 盛夏無為
沈黙の秋 何処も蝕む 陸の端
海峡の漁夫きて 祭の大根買う
湖北音絶え 火のうめもどきは 老婆の木
灼けすぎて笑わぬ漁夫に カンナ並ぶ
燻製魚店 昏れだす 入江よりはやく
甍焼く村の蓮華田 誰も来ない
用心深い鳥影うごく 夕餉前
眼指し煙り 枇杷実るころの 六地蔵
石器は闇に置くもの 遠くにある 秋炎
祈願は滲むもの 釘抜地蔵に 春の雪
空ら額縁はこびこむ 鶏頭壮んな館
花野の果てに 秘仏の素足 昼極まる
茫洋と鮟鱇汗煮る 湾の村
茫茫の葭原に 似合う蟹となる
蝶枯れて 女はいつも湯を沸かす
蟬降る目覚め 戦歴の屋根疾くに乾き
謀叛は只事 有縁無縁の墓碑に春
護符へ鳥来る 枯葦ばかりさわぐ村
貝料理店から見る 廃船の今日の翳り
辺境の鴉単色 啼かずに翔つ
都市初秋 無名の墓に 雲あつまる
陶器の天使が売れた 木枯骨董店
 

伊丹公子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/04 16:31 UTC 版)

伊丹 公子(いたみ きみこ、1925年4月22日[1] - 2014年12月15日[2])は、日本の俳人詩人。本名・岩田 きみ子。俳人の伊丹三樹彦は夫、同じく俳人の伊丹啓子は長女。

略歴

高知県出身。兵庫県立伊丹高等女学校(現・兵庫県立伊丹高等学校)卒業。1946年、三樹彦に師事。同年、三樹彦編集・発行の同人誌「まるめろ」創刊。1949年、日野草城主宰の俳誌「青玄」が創刊され、「まるめろ」は合流。2005年の「青玄」解散後は、2006年に啓子が創刊した「青群」に参加[3]。1972年、現代俳句協会賞受賞。また、詩を村野四郎に師事。2014年12月15日、心不全のため死去。

著書

  • 『メキシコ貝 句集』琅玕洞 青玄双書 1965 のち牧羊社
  • 『通過儀礼 伊丹公子詩集』求龍堂 1970
  • 『陶器天使 句集』牧羊社 精鋭句集シリーズ 1975
  • 『空間彩色 伊丹公子詩集』冬樹社 1976
  • 『沿海 伊丹公子句集』沖積舎 1977
  • 『時間紀行 伊丹公子句集』牧羊社 1979
  • 『ドリアンの棘』現代俳句女流シリーズ 牧羊社 1982
  • 『ガルーダ 現代俳句の一〇〇冊』現代俳句協会 1983
  • 『赤道都市 THE EQUATORIAL CITIES 伊丹公子詩集(英訳付き)』 Nagiko Iwata Lee, Susan Kuyper 訳 冬樹社 1983
  • 『パースの秋 句集』牧羊社 1985
  • 『伊丹公子集 自解100句選』牧羊社 1987
  • 『異国の街にて 伊丹公子紀行文集』冬樹社 1989
  • 『天球水球 伊丹公子詩集』冬樹社 1991
  • 『機内楽 句集』牧羊社 1992
  • 『現代俳句文庫 伊丹公子句集』ふらんす堂 1993
  • 『アーギライト 伊丹公子カナダ句集』春陽堂書店 1994
  • 『地球の絵葉書 伊丹公子紀行文集2』春陽堂書店 1995
  • 『山珊瑚 伊丹公子句集』春陽堂書店 1996
  • 『カンボジアの壁 伊丹公子詩集』春陽堂書店 1997
  • 『伊丹公子 花神現代俳句』花神社 1999
  • 『運河と水仙 伊丹公子句集』春陽堂書店 1999
  • 『伊丹公子紀行文集3 地図と文鎮』春陽堂書店 2000
  • 『詩人の家 伊丹公子エッセイ集』沖積舎 2001
  • 『イコン絵師 伊丹公子句集』沖積舎 2002
  • 『伊丹公子自筆百句選』沖積舎 2003
  • 『黒い聖母 Ebony-colored Virgin Mary 伊丹公子詩集(英訳付き)』Nagiko Lee, Catherine Yamamoto 訳 沖積舎 2004
  • 『伊丹公子紀行文集4 海山の手帖』沖積舎 2005
  • 『私の手紙 伊丹公子第13句集』沖積舎 2007
  • 『博物の朝 伊丹公子句集』角川書店 2010
  • 『港都譚 伊丹公子エッセイ集』沖積舎 2011
  • 『伊丹公子全句集』沖積舎 2012
  • 『伊丹公子全詩集』沖積舎 2014

作詞

参考

出典

  1. ^ 『文藝年鑑』2008年
  2. ^ “訃報:伊丹公子さん89歳=俳人”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2015年1月8日). オリジナルの2015年1月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150108150551/http://mainichi.jp/select/news/20150109k0000m060016000c.html 2015年1月10日閲覧。 
  3. ^ 死去直前の第34号(2014年12月)まで作品を寄稿している。ちなみに同号に寄せた作品は「山珊瑚」7句。

外部リンク




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「伊丹公子」の関連用語

伊丹公子のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



伊丹公子のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
現代俳句協会現代俳句協会
Copyright(C) 現代俳句協会
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの伊丹公子 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS