メスバウアー効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/26 06:12 UTC 版)
メスバウアー効果(メスバウアーこうか、英: Mössbauer effect)とは、1958年にルドルフ・メスバウアーによって発見された結晶体状のガンマ線放射線源とその吸収体の間に発生する共鳴吸収現象を言う[1]。
- ^ 共鳴吸収現象が発生すること自体は1953年にP.B.ムーンとA.ストラストによって水銀について明らかにされていた。メスバウアーはガンマ線の放出に伴う原子核(イリジウム191)の反跳効果を、その原子を結晶の結合でつなぎ止めた上でその結晶を冷却することで防ぐことに成功した。なお、イリジウム191では冷却が必要であったが、後に鉄57を用いることで室温でも十分な効果が観測できることが判明した。
- ^ 量子力学的な原子核からの電磁波の放出(光子の放出)によって、ちょうど弾丸を発射した銃のように反対方向に跳ね飛ばされる。これを反跳(recoil)と呼ぶ。反跳によって原子核は電磁波のエネルギーの一部を持ち去るため、同一物質同士であっても放出される電磁波の振動数と物質が吸収する電磁波の振動数は一致しない。講談社(1972) p.189
- ^ 那須(2004)
- ^ しかしそれ以前に、1953年にバーミンガム大学の P.B. ムーン(Philip Burton Moon) と A. ストラスト は、励起した水銀を遠心分離機の腕に固定し回転させることで、反跳現象による周波数の低下を運動速度で相殺させることで(接近する向きに運動する場合はドプラー効果により周波数が増すので)、実際に静止した水銀との間で共鳴現象が発生することを発見していた。
- ^ 例えば、イリジウム191であれば結晶中に束縛した上に、さらに冷却をする必要もあるが、鉄57の場合には結晶の温度が室温であっても共鳴がかなりの強度で起こる。
- 1 メスバウアー効果とは
- 2 メスバウアー効果の概要
- 3 参考文献
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