マシュハデ・アルデハールとは? わかりやすく解説

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マシュハデ・アルデハール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/23 09:27 UTC 版)

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マシュハデ・アルデハール全景

マシュハデ・アルデハールペルシア語: مَشهَد اَردِهال‎, EIr(2012)方式: Mašhad-e Ardehāl)は、イランエスファハーン州カーシャーン近郊にある村[1]。2017年時点の人口は約2000人。

カーシャーンから40キロメートルほど離れており、エマーム・モハンマド・バーゲルの息子、ソルターン・アリーペルシア語版霊廟ペルシア語版がある[1]。現代ペルシア語詩人のソホラーブ・セペヘリーの墓があることや、毎年モハッラム月に「絨毯洗い」の行事が行われることでも有名である[2][3]。ソルターン・アリーの霊廟建築は、セルジューク朝期のもの[4]

エマームザーデ

詩人セペヘリーの墓碑

アラビア語/ペルシア語の「マシュハド」には「殉教の地」の意味があり、マシュハデ・アルデハールは後述のように、シーア派の重要なエマーム、モハンマド・バーゲルの5番目の息子、ソルターン・アリーペルシア語版がヒジュラ暦116年第2ジュマーダー月英語版27日(西暦734年8月7日)に殉教した地とされる。

「絨毯洗い」の行事

ソルターン・アリー廟ペルシア語版の中庭に集まった「絨毯洗い」の巡礼(2017年)。巡礼はみな、黒いシャツを着用して長い木のさおを手にしている。

マシュハデ・アルデハールでは、「絨毯洗い」(ガーリーシューヤーン)というシーア派の宗教行事が毎年行われる[5]

この行事のそもそもの始まりは、1000年以上も昔、マディーナから招かれて当地にやってきたソルターン・アリーがここで殺されたときの故事に由来する。アリーを助けるために駆けつけたものの間に合わず、暗殺を防げなかった支援者らは、アリーの遺体を絨毯でくるんで近くの小川へ運び、洗った。以後、ソルターン・アリーの命日にあたるイラン暦のメヘル月の第2金曜日になると、ゴムやカーシャーンなど周辺の町からマシュハデ・アルデハールに巡礼がやってくるようになった。巡礼は、アリーの遺体をくるんだ絨毯とされる聖遺物(アーサール)を担いで霊廟の外へ出し、エマームの子孫の死を悼みながら、さおで絨毯を打つ。この行為には、絨毯の汚れを落とすという表面的意味のみならず、ソルターン・アリーの敵への憎しみを表出することと、彼の殉教のかたき討ちを誓うという象徴的意味がある。巡礼は黒いシャツを着用し、宗教歌を歌い、声を上げて哭き、自分の胸を打つ(これには哀悼の意を示す意味がある)。その後、巡礼は絨毯を霊廟の近くにある小川で清める。この小川の水は神聖なものと考えられており、巡礼は自分の体にもこの水を塗る。自宅に持ち帰るために水筒につめる者もいる。絨毯を霊廟に返納すると儀式は終わり、巡礼には正午に食事がふるまわれる。[6]

2009年にはマシュハデ・アルデハールで行われる「絨毯洗い」の行事に、20万人の巡礼が集まった。

出典

  1. ^ a b 山田, 稔. “市・市場:市場考イラン「絨毯聖者」の市”. 大東文化大学. 2019年11月5日閲覧。
  2. ^ Sohrab Sepehri; Abbas Zahedi; Suhrāb Sipihrī; Ismail Salami; Martin Turner (2004). The Water's Footfall: Selected Poems. p. 9. https://books.google.com/books?id=NPxZgcpNdOQC 
  3. ^ Andrew Burke; Mark Elliott; Kamin Mohammadi (2004). Iran. Lonely Planet. p. 209. https://books.google.com/books?id=NPxZgcpNdOQC 
  4. ^ Kashan, in the province of Esfahan: Religious Ceremonies[リンク切れ], salamiran.org, written by Administrator, dated Wednesday, 27 September 2006
  5. ^ Qālišuyān rituals of Mašhad-e Ardehāl in Kāšān”. UNESCO. 2019年11月5日閲覧。
  6. ^ Kashan, in the province of Esfahan: Religious Ceremonies[リンク切れ], salamiran.org, written by Administrator, dated Wednesday, 27 September 2006

関連項目

  • ムハッラム月の追悼行事



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