ベータ線・ガンマ線同時計数法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/17 18:52 UTC 版)
ベータ線・ガンマ線同時計数法(ベータせん ガンマせんどうじけいすうほう、英:beta-gamma coincidence method、一般にはβ-γ同時計数法)は放射能の絶対測定の一つ。β線検出器とγ線検出器を線源に対して向き合わせる形で測定する。原理的にどちらの検出器の検出効率にも依存しないため、60Coのようにβ線とγ線を同時放出する核種の絶対測定に用いられる。
β線検出器としてはGM計数管が、γ線検出器としてはNaI(Tl)シンチレータが主に用いられる。
概説
流れ星の観測を用いた比喩
これらの関係について説明する際に「流れ星の観測」という比喩が用いられることがあります。 あなたと友人は史上最大の数、流星群の時期が重なると聞きつけ、1時間あたりに何回(何個ではない)流れ星を見れるかを調べてみようと思いました。
あなたと友人はともに北の空を眺めます。 肉眼で流れ星を見つけたらその場ですぐに手元に持っているメモ帳に時刻を書きます。 流れ星の明るさは様々で、暗い流れ星は二人の視力によっては見えないかもしれません(検出効率)。 二人が見た時刻が完全に同じ場合、同じ流れ星を見た可能性が高いです。
この計測によって十分に大きな同時計数が得られた場合、北の空で観測できる流れ星の頻度[counts/hour]を二人の視力を考えることなく求めることができます。
(実際には流れ星を見てからメモ帳に書き写すまでの時間があるため、二人が見た時刻の差が数秒の範囲であれば、同じ流れ星と見なす(分解時間))
(また、流れ星を見てからメモ帳に書き写すまでの間、二人は視線を下に落としているため、流れ星に反応することはできません(不感時間))
歴史
検出器の計数効率に依存せずに放射能を絶対測定する手法として初めて示されたのは、1940年にJ. V. Dunworthにより開発されたβ-γ同時計数法である。[1]その後、放射線の絶対測定としてのβ-γ同時計数法は1950年代にはよく知られるようになっていた[2]。
β崩壊核種の絶対測定を行う場合、β-γ同時計数法は試料の自己吸収にもとづく誤差を消去できるという点で、4πβ計数法よりも優れている。しかし、β-γ同時計数法はコバルト60などのようにβ-壊変後の励起状態からのγ線放出が高確率で起こる線源には用いれたが、ルビジウム86などのようにβ-壊変後の娘核の大部分が基底状態に直接遷移する場合などには用いれず、その適用範囲がきわめて限られている[3]。
その後1959年に、カンピオン.P.J(英:Campion.P.J)らによってβ-γ同時計数法を改良した4πβ-γ同時計数法(特にそこで用いられる効率外部挿法)が開発された。
原理
1秒間にN回の崩壊を起こし、それに伴いβ粒子と1つ以上のγ線を放出する線源について、β線検出器とγ線検出器の2つによって検出することを考える。 β線検出器の検出効率をεβとするとβ線の計数率nβは、
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