フランツ・クレメントとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > フランツ・クレメントの意味・解説 

フランツ・クレメント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/05 07:29 UTC 版)

フランツ・ヨーゼフ・クレメント(Franz Joseph Clement, 1780年11月17日または18日 - 1842年11月3日[1])は、オーストリアヴァイオリニストピアニスト作曲家アン・デア・ウィーン劇場指揮者ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの友人だった。

生涯

若い頃からヴァイオリニストとしての才覚を発揮したクレメントは、複雑な楽曲に短時間目を通しただけで暗譜で演奏するという並外れた能力によって知られていた。ヴィルトゥオーソとしての演奏の合間に、上下逆さに持ったヴァイオリンの1本の弦のみでソナタを演奏するというような、気楽でおどけた見世物を挟んでいた[2]。1805年にある評論家が彼の独特なスタイルについて以下のように記している。

大胆で強靭な演奏、感動的で力強いアダージョ、迫力あるボウイングロードヴィオッティ楽派が持ち味とする音色が彼を特徴づけるのではない。むしろ、彼の演奏は筆舌に尽くしがたい繊細さ、均整、品性を備える。そこには喜ばしい優しさと清らかさがあり、これらによって彼が最高峰の完璧なヴァイオリニストであることが保証されることに疑いの余地はない。同時に、彼はその完全に特有の軽妙さにより、まことに信じがたい難所でもただ戯れるだけであるかのように見え、この上なく不敵なパッセージであったとしてもひと時も確実さを置き去りにすることはないのである[3]

ベートーヴェンはクレメントが1794年に弱冠14歳の神童としてウィーンで演奏するのを聴き、彼と知り合いになっている。

ベートーヴェンが交響曲第3番『英雄』を初めて公の場で指揮したのは、1805年4月17日のアン・デア・ウィーン劇場の慈善演奏会でのことだった。同じコンサートでは、6作が知られるクレメント自作のヴァイオリン協奏曲のうち、ニ長調の作品を自ら初演している。

続いてクレメントは次の慈善演奏会のためとして、友人であったベートーヴェンにヴァイオリン協奏曲を委嘱し、1806年12月23日に初演している[2]。ベートーヴェンが演奏間際まで曲を書いていたため、クレメントはリハーサルなしで演奏に臨んだと伝えられている。

クレメントの作品には多数のピアノまたは管弦楽とヴァイオリンのための作品の他、1848年に出版されたオッフェトリウム『Ave, o rosa mistica』がある[4][5]

出典

  1. ^ LAF based on New Grove 2nd Ed.”. 2011年3月27日閲覧。
  2. ^ a b Bathia Churgin, Transcendent Mastery: Studies in the Music of Beethoven, 3.
  3. ^ Brown, Clive (2008年). “The Violin Concertos of Franz Clement and Ludwig van Beethoven”. RachelBartonPine.Com. 2011年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年10月2日閲覧。
  4. ^ Austrian National Library
  5. ^ See HMB. Publication was by Diabelli- the "Ebend" in the line linked to means "same as the line above".

参考文献

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  フランツ・クレメントのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フランツ・クレメント」の関連用語

フランツ・クレメントのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フランツ・クレメントのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのフランツ・クレメント (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS