ニウエと中国の関係とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ニウエと中国の関係の意味・解説 

ニウエと中国の関係

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/09 09:06 UTC 版)

ニウエと中国の関係

中国

ニウエ

本項目では、ニウエ中華人民共和国の関係について述べる。

略歴

2008年10月18日中国初の在ニウエ大使である張立民中国語版が、ニウエの首相トケ・タランギに信任状を提出し[1]、受理された。張は在ニュージーランド中国大使でもある。

2009年7月、タランギは、ニュージーランドから開発援助がもたらされない場合、代わりに中国に求める、と述べた[2]

中国とニウエが国交を結んだことは、中国と大洋州の関係英語版というより広い文脈から見られることもある。オセアニアのすべての独立国は、中華人民共和国か中華民国のどちらか片方と外交・経済関係を維持している。

樹立までの背景

ニウエと中国の国交は、両国での多くの議論のあとに樹立した。2004年、中国主席の温家宝はニウエ首相のヤング・ビビアンに電報を送り、暴風被害を受けたニウエに対して弔慰の意を表した[3]。2006年4月には、フィジーで開かれた「中国・太平洋島嶼国経済開発協力フォーラム」に伴って温とビビアンが会談を行った[3]。2006年8月1日、ビビアンと元中国外相の李肇星ウェリントンで協議した[4]。また2007年6月、ビビアンが訪中している[3]

ニウエは太平洋諸島フォーラムの加盟国であり、その他多くの 地域機関・国際機関のメンバー国でもある。国際連合の加盟国ではないものの国連海洋法条約国連気候変動枠組条約オタワ条約ラロトンガ条約の締約国ではある。

ニウエ憲法との関係

ニウエは、1974年9月3日の投票で憲法を承認して以来、ニュージーランドと自由連合を組んで、自治を行ってきた[5]。ニウエはその内政に対して全責任を負っている。ニウエの対外的な立場はあまり明確に決まっているわけではない。ニウエ憲法制定法英語版の第6条では以下のように規定される。

この法律及び憲法に定められたことは、ニウエの外交及び防衛におけるニュージーランド女王陛下の責任には何ら影響を与えないものとする。

第8条によると、

この法の第6条と第7条(外交問題、国防、経済および行政支援に関するもの)、および、ニュージーランドとニウエによる積極的な協力が随時必要である場合ならば、ニュージーランド首相とニウエ首相との間で協議し、ニュージーランドとニウエの、その他の状況に影響を及ぼすことができるものとする。それぞれの政府の政策に従って、もしこれらの政策を実行するためにはニウエの法律に何らかの規約を定めることが望ましいのならば、憲法に則って規約を定めることができ、かつ、それ以外の方法では規定できない[6]

ニウエは2007年12月12日に中華人民共和国と外交関係を樹立した[7]。ニウエの憲法上の立場とは関係なく、ニュージーランド政府に他国と外交関係を樹立する能力があることは明らかである。ニュージーランド政府のウェブサイトによると、

事実上、ニウエは他の国と正式な外交関係を樹立することを含む、独自の対外関係を営んでいる[8]

伝統的に、ニウエの外交問題と国防は、中国との十全な外交関係を持つニュージーランドの責務であるとみなされてきた。ニウエの憲法上、そのような問題に対しては、ニュージーランド首相とニウエ首相との間で協議が必須であり、中国と国交を樹立する前にそのような協議が行われたかはよくわかっていない。そのため、ニウエ当局はニウエ憲法によって与えられた権限を逸脱した可能性がある。

また、ニウエと中国とで調印された共同声明と、ニュージーランドと中国の間で形成された合意とでは、台湾の処遇が異なっている。ニュージーランドは台湾に対する中国の立場を認識しつつも明示的に認めてはいない。その一方でニウエは、「世界に中国は一つしかないこと、中華人民共和国政府が中国全体を代表する唯一の政府であること、台湾は中国領土の不可譲領土であること」を認めている[7]。はたしてニウエが、ニュージーランドとの自由連合を続けることで利益を得ながらも、ニュージーランドのアドバイスを度外視して独自の外交関係を樹立することはできるのか、疑問視する批評家もいる[9]

出典

  1. ^ Niue set for formal ties with China”. RNZ (2008年10月24日). 2020年6月27日閲覧。
  2. ^ Trevett, Claire (2009年7月10日). “PM faces blunt threat from Niue”. The New Zealand Herald. http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10583605 2011年11月2日閲覧。 
  3. ^ a b c Briefing of Relations between China and Niue Archived 2011-07-07 at the Wayback Machine.
  4. ^ Niue's PM holds talks with Chinese FM Archived 2012-02-17 at the Wayback Machine.
  5. ^ Masahiro Igarashi, Associated Statehood in International Law, p 167
  6. ^ Section 8, Niue Constitution Act.
  7. ^ a b Full text of joint communique on the establishment of diplomatic relations between China and Niue”. Xinhua News Agency (2007年12月12日). 2007年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年3月6日閲覧。
  8. ^ NZ Ministry of Foreign Affairs and Trade website
  9. ^ The Hive, Pacific Watch : Has Niue's Constitutional Status Changed?, December 16, 2007



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  ニウエと中国の関係のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ニウエと中国の関係」の関連用語

ニウエと中国の関係のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ニウエと中国の関係のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのニウエと中国の関係 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS