ドイツ式和音記号とは? わかりやすく解説

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ドイツ式和音記号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/19 21:45 UTC 版)

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ドイツ式和音記号とは、ドイツ語圏で一般的に使用される和音記号の体系である。

概略

ヴィルヘルム・マーラーが"Beitrag zur durmolltonalen Harmonielehre I&II"で完成させた記号である。それ以前からザーロモン・ヤーダスゾーンフーゴー・リーマンマックス・レーガーほかによってイタリア式和音記号(数字付き低音)もしくはフランス式和音記号との決別が探られてきたが、マーラーによって一応の終息を見たとされている。画期的なのは、Iの末尾にイタリア式和音記号との対照表が掲載[1]されたことである。出版当初から大ベストセラーになり、1931年の初版から多くの刷を重ねている。ディーター・デ・ラ・モッテはマーラーの直弟子なので、彼の著書はマーラーの数字がそのまま採用されているが、若干の相違がある。

イタリア式と大きく異なるのはトニック、ドミナント、サブドミナントの明示がなされるばかりか、ドミナントの滞積を複数のDで羅列する点が大きな特徴である。現在も、Jürgen Ulrichの著書で継承されている。パウル・ヒンデミットほかのドイツ人作曲家は、このような記号による教育を認めておらず、著書にも使用されていない。このため、ドイツ語圏をほとんど出ることのなかった記号体系として知られる。

他国の受容

ヤマハ音楽教室、カワイ音楽教室、あるいは日本の各種音大では教えられる機会の少ない記号体系である。このためドイツ系の音楽学校に留学した際、日本人は一から修練を強いられるケースが多い。ロシアでは音楽学者ユリ・ホロポフの著書で指導がなされ[2]、ドイツ式和音記号とローマ数字は併用されていた。

関連項目

脚注

  1. ^ Beitrag zur durmolltonalen Harmonielehre I”. encrypted-tbn0.gstatic.com. 2019年4月12日閲覧。
  2. ^ Kholopov's Harmony, Theoretical Course. 2nd Edition (2003)”. yanko.lib.ru (2006年9月9日). 2019年4月20日閲覧。

参考文献

  • Wilhelm Maler - Beitrag zur durmolltonalen Harmonielehre I ISBN 978-3-92058-700-4
  • Wilhelm Maler - Beitrag zur durmolltonalen Harmonielehre II ISBN 978-3-92058-701-1
  • Hermann Grabner - Handbuch der funktionellen Harmonielehre: I. Teil: Lehrbuch. II. Teil: Aufgabenbuch ISBN 978-3-76492-112-5
  • Dorothea Ohly, Joachim Thalmann und Jürgen Ulrich - Harmonielehre für die Praxis: mit elementarer Satzlehre ISBN 978-3-79578-738-7
  • Diether de la Motte - Harmonielehre ISBN 978-3-76182-115-2
  • Yuri Kholopov - Harmony. Theoretical Course. For Students of Departments of Theory and History of Music, Institutions of Higher Education. 2nd edition, SPb., 2003. ISBN 5-8114-0516-2



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