チェリク (アスト部)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > チェリク (アスト部)の意味・解説 

チェリク (アスト部)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 10:03 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

チェリクモンゴル語: Čelig,? - ?)とは、13世紀末から14世紀初頭にかけてモンゴル帝国大元ウルス)に仕えたアス人将軍の一人。『元史』などの漢文史料では徹里(chèlǐ)と記される。

概要

チェリクらアス人は元来カフカース地方に住まうアラン人(=現在のオセット人)が、「バトゥの征西」においてカフカース地方に侵攻したモンケ(後の第4代皇帝)によって東方に移住させられて形成された集団であった。チェリクの父別吉八も時期は不明であるがモンケに仕えるようになり、南宋親征に従軍して武功を挙げたことが記録されている[1]

別吉八の息子チェリクはモンケの死後に即位したクビライに仕えて親衛隊(ケシクテイ)の箭筒士(コルチ)に任じられた。チェリクは主に中央アジアを支配するカイドゥとの戦いで活躍し、カイドゥ軍の前鋒を撃退したことや、敵の畜牧を奪って自軍の糧食にした功績などでクビライから鈔3500錠を与えられている[2]

オルジェイトゥ・カーン(成宗テムル)の治世には盗賊を討伐して3000人余りを捕虜とし、そこで獲得した捕虜・家畜はバルグの地に供給した。オルジェイトゥ・カーンの治世には対カイドゥ軍の司令官としてカイシャン(後の武宗クルク・カーン)が起用され、チェリクもカイシャンの指揮下に入り、その武功を賞賛されて銀の酒器を与えられている。その後、カイシャンが即位すると、1309年至大2年)にチェリクは左阿速衛僉事の地位を授けられる厚遇を受けた。1313年皇慶2年)には湘寧王デルゲル・ブカの指揮下にあってモンゴル高原に赴いているが、これ以後のチェリクの記録はない[3]

チェリクの息子シレムンは1328年(致和元年/天順元年/天暦元年)に勃発した天暦の内乱に大都派側に立って参戦し、潮河川で知院のトク・テムルとともにオルジェイ・バートルら12人らと遭遇し、8人を殺して4人を捕虜として連れ帰る功績を挙げた。その後も宜興においてシラ・ナイマンタイらを撃退し、両家店でトゥマンダルの兵を撃ち破った。同年11月にはそれまでの功績を賞して左衛阿速親軍都指揮使司僉事の地位を授けられている[4]

脚注

  1. ^ 赤坂2010,157-159頁
  2. ^ 『元史』巻135列伝22徹里伝,「徹里、阿速氏。父別吉八、在憲宗時従攻釣魚山、以功受賞。徹里事世祖、充火児赤。従征海都、奮戈撃其前鋒、官軍二人陥陣、掖而出之、以功受賞。後従征杭海、獲其牛馬畜牧、悉以給軍食。帝嘉之、賞鈔三千五百錠、仍以分賚士卒」
  3. ^ 『元史』巻135列伝22徹里伝,「成宗時、盜拠博落脱児之地、命将兵討之、獲三千餘人、誅其酋長還。奉命同客省使抜都児等往八児胡之地、以前所獲人口畜牧悉給其主。軍還、帝特賜鈔一百錠。武宗居潜邸、亦以銀酒器賞之。至大二年、立左阿速衛、授本衛僉事、賜金符。皇慶二年、従湘寧王北征、以功賜一珠虎符」
  4. ^ 『元史』巻135列伝22徹里伝,「子失列門、直宿衛。致和元年秋八月、従知院脱脱木児至潮河川、獲完者八都児・愛的斤等十二人、戮八人、執四人帰京師。復於宜興遇失剌・乃馬台等、迎戦、奮戈撃死二人、以功賞白金・楮幣。天暦元年、従撃禿満台児之兵于両家店、殺其四人、復以功受賞。従戦薊州、又殺其四人。十一月、又追殺十二人于檀子山、以功授左衛阿速親軍都指揮使司僉事」

参考文献

  • 赤坂恒明「モンゴル帝国期におけるアス人の移動について」塚田誠之編『中国国境地域の移動と交流』 有志舎、2010年
  • 元史』巻135列伝22徹里伝



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

チェリク (アスト部)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



チェリク (アスト部)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのチェリク (アスト部) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS