ザベル_(キリキア・アルメニア王国女王)とは? わかりやすく解説

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ザベル (キリキア・アルメニア王国女王)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/09 10:11 UTC 版)

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ザベル
Զապել
キリキア・アルメニア女王
ザベルとヘトゥム1世の貨幣
在位 1219年 - 1252年

出生 1211年
死去 1252年1月23日
配偶者 アンティオキア公子フィリップ
  ヘトゥム1世
家名 ルーベン家
王朝 ルーベン朝
父親 レヴォン2世
母親 シビーユ・ド・リュジニャン
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ザベルアルメニア語: Զապել)またはイザベル1211年 - 1252年1月23日)は、キリキア・アルメニア王国の女王(在位:1219年 - 1252年)である。アルメニアにおける悲劇の女性として知られる。

生涯

ザベルは、キリキア・アルメニア王国の王家、ルーベン家ロシア語版に生まれた。父であるレヴォン2世ロシア語版が1219年に急死すると、わずか7歳だったザベルは、女王として即位することとなる。その後、摂政となったアルメニアの大貴族ヘトゥム家ロシア語版パペロンのコスタンティンフランス語版は専横を極め、ザベルの夫としてアンティオキア公ボエモン4世英語版の息子フィリップを選んだ[1]。しかし、1224年にコンスタンティンは自らの意向に沿わないフィリップを投獄して殺害した[2]

コンスタンティンは自らの息子ヘトゥムと結婚するようにザベルに迫った[3]。ザベルはその意に従わず、コンスタンティンのもとから逃れてセレウキア修道女となった。だが、コンスタンティンはセレウキアにおいてザベルを捕らえ、連れ戻して還俗させた。コンスタンティンはザベルを牢獄に監禁して、ヘトゥムとの結婚を強要した。囚われの身となったザベルはヘトゥムとの結婚をなお拒んだが、ヘトゥムによりたびたび凌辱されて妊娠し、ついに1226年にヘトゥムとの結婚を受け入れた[3]。ヘトゥムは王として即位し、ザベルを形式上の共同統治者とした。こうして、ヘトゥム朝が成立した。

当初、この再婚はローマ教皇の認めるところとならなかったが、1237年にはローマ教皇が承認した。ザベルはレヴォン3世ロシア語版をはじめとする7人のヘトゥムの子を生んだ。そして、ザベルは1252年に亡くなった。

子女

『ザベル女王の復位』 (ヴァルドゲス・スレニャンツアルメニア語版筆、1909年)

1221年に結婚したアンティオキア公子フィリップとの間には子女はいない。

1226年に結婚したヘトゥム1世との間に以下の子女をもうけた。

  • ユーフェミア[1](? - 1309年) - シドン領主ジュリアン(? - 1275/6年)と結婚
  • マリア(? - 1310年以降) - ギー・ディブランと結婚
  • シビリア(? - 1290年) - アンティオキア公ボエモン6世と結婚
  • リタ(? - ?) - Servantikar領主コスタンティンと結婚
  • レヴォン3世(1236/7年 - 1289年) - キリキア・アルメニア王
  • ソロス(1244年 - 1266年)
  • ザベル(? - 1268年頃)

脚注

  1. ^ a b Runciman, Steven. A History of the Crusades – Volume III.: The Kingdom of Acre and the Later Crusades 
  2. ^ Nickerson Hardwicke, Mary. The Crusader States, 1192–1243.
  3. ^ a b Ghazarian, Jacob G. The Armenian Kingdom in Cilicia during the Crusades: The Integration of Cilician Armenians with the Latins (1080–1393).

参考文献

  • Steven Runciman, A History of the Crusades Vol.III, Cambridge University Press, 1987.
  • Ghazarian, Jacob G: The Armenian Kingdom in Cilicia during the Crusades: The Integration of Cilician Armenians with the Latins (1080–1393); RoutledgeCurzon (Taylor & Francis Group), 2000.
  • Runciman, Steven: A History of the Crusades – Volume III.: The Kingdom of Acre and the Later Crusades ; Cambridge University Press, 1988.
  • Nersessian, Sirarpie Der: The Kingdom of Cilician Armenia (in: Setton, Kenneth M.: (General Editor) – Wolff, Robert Lee – Hazard, Harry W. (Editors): A History of the Crusades – Volume II: The Later Crusades, 1189–1311; The University of Wisconsin Press, 1969, Madison, Milwaukee and London; ISBN 978-0-299-04834-1)
  • Nickerson Hardwicke, Mary: The Crusader States, 1192–1243 (in: Setton, Kenneth M.: (General Editor) – Wolff, Robert Lee – Hazard, Harry W. (Editors): A History of the Crusades – Volume II: The Later Crusades, 1189–1311; The University of Wisconsin Press, 1969, Madison, Milwaukee and London; ISBN 978-0-299-04834-1)
  • 佐藤信夫『新アルメニア史――人類の再生と滅亡の地――』泰流社、1989年

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