クアハウス_(バーデン=バーデン)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > クアハウス_(バーデン=バーデン)の意味・解説 

クアハウス (バーデン=バーデン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 09:58 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
バーデン=バーデンのクアハウス
夕刻のクアハウス

バーデン=バーデンドイツ)のクアハウスは、シュヴァルツヴァルト(黒い森)地方の都市バーデン=バーデンの郊外に位置する、温泉リゾート、カジノ、会議場などの複合施設のこと。

歴史

1824年に、フリードリヒ・ヴァインブレンナーにより、主要建築物が設計された。コリント式の列柱、2頭のグリフォンをかたどったフリーズ、および新古典風の内装などが特徴。建築当初からカジノが併設されていたが、国際的に有名になるのは、フランスで賭博が禁止となった1830年代半ばのことである。この法律の壁によって、賭博愛好家が国境をこえて集まってきた[1]ロシアの作家ドストエフスキーの小説『賭博者』は、作者がバーデン=バーデンのクアハウスを訪れた時に着想を得たものである[2]。女優のマレーネ・ディートリヒは、「世界で最も美しいカジノ」と評した[3]

クアハウスのシャンデリア
カジノのホール

2世紀にわたる間に、クアハウスは幾度かの浮沈を経験した。例えば、第一次世界大戦中は富裕な旅行者が激減した[4]。しかし、1920年代までには、第一次世界大戦で新たに富を得た者たち(アメリカ人など)が、旧来クアハウスの名声を維持してきたヨーロッパ人にとってかわって現れた[5]

国際会議・イベント

バーデン=バーデンのクアハウスは、時として国際的なニュースに躍り出ることがある。バーデン=バーデン・カンファレンス・センターがこれらの国際的なイベント・会議の主催を行う。

チェス・トーナメント

1925年、国際チェス・マスターズ・トーナメントの第21ラウンドが、バーデン=バーデンのクアハウスにおいて開催された。このクアハウス・ラウンドは4月16日から5月14日まで続き、5月23日からのマリエンバード(現在はチェコの都市、マリアーンスケー・ラーズニェ)における最終ラウンドに引き継がれた[6]

オリンピック会議

1981年9月23日から9月28日まで、第11回のオリンピックコングレス国際オリンピック委員会が十数年に1回開催する会議)が、クアハウスにおいて開催された。国際オリンピック委員会 (IOC)の第84回会議として開催され、オリンピック・ムーブメント[7]の発展・成功に関わる幅広い代表者が出席した。会議には競技に参加する世界147ヶ国および26の国際的なスポーツ連盟の代表が集まった[8]

加えて、開催地候補となる5つの都市からの代表も参加した。それぞれの候補地が公式のプレゼンテーションを行い、翌日にIOCの投票が行われた。カルガリーが1988年の冬季オリンピックの開催地に、ソウルが1988年の夏季オリンピックの開催地に選ばれた[8]

NATOサミット

北大西洋条約機構(NATO)の2009年 ストラスブール - ケール・サミットの第1回の公式イベント(ワーキング・ディナー)が、2009年4月3日夜に、クアハウスのフロレンティンの間(Florentiner Saal)において行われた[9]。大型の馬蹄形のテーブルが28ヶ所に置かれ、各国の指導者が食事をとりながら意見交換を行った[10]

食事にさきがけ、クラシック音楽が演奏された。ドイツ人バイオリニストアンネ=ゾフィー・ムターによるヨーロッパやアメリカの作曲家の作品で、ヨハネス・ブラームスの「ハンガリー舞曲」・「ホー・ダウン」(Hoe-down)、およびアメリカの作曲家アーロン・コープランドの「ロデオ」が含まれていた[10]

演奏の様子はウェブのストリーミングで公開されたが、その映像ではクアハウスのシャンデリアがアクセントで用いられていた。また、入口の階段に平行しての芝生の縁を、加盟国の国旗が端から順番にポールに掲揚されていくという趣向もこらされた。さらに、北大西洋条約機構 のシンボルカラーの青にいろどられた人工の雷の光が、外壁の白と対照をなして、玄関のポーチの柱列の後ろに映し出されるという演出もあった[10]

関連項目

  • トリンクハレ(ポンプ小屋)英語版
  • ヴィースバーデンのクアハウス英語版

脚注

  1. ^ McLachlan, Gordon. (2004). The Rough Guide to Germany, pp. 326-327.
  2. ^ Schulte-Peevers, p. 433.
  3. ^ Schulte-Peevers, pp. 431-433.
  4. ^ "Baden-Baden now Dullest of Spas; Famous Resort Visited Chiefly by Convalescent Soldiers and Their "War Brides," New York Times. August 1, 1915.
  5. ^ "Gay Throngs Again Fill Baden-Baden; Tourist Finds Special Courtesy to Americans in Returning Tide of Travel," New York Times. June 22, 1920.
  6. ^ "Alekhine Finished Tourney Unbeaten; Baden-Baden Victor Draws Final Game With Gruenfeld as Chess Play Ends." New York Times. May 14, 1925.
  7. ^ オリンピズムとオリンピズムの価値に則って実践されるスポーツを通じ、若者を教育することにより、平和でより良い世界の構築に貢献すること。オリンピック憲章[1]
  8. ^ a b "The End of a Long Olympic Race," New York Times. September 30, 1981.
  9. ^ "NATO North Atlantic Council Summit meetings of Heads of State and Government; Complementary Information for the media." NATO press release.
  10. ^ a b c NATO: streaming webcast

参考文献

外部リンク

座標: 北緯48度45分37秒 東経8度14分11秒 / 北緯48.7603度 東経8.2364度 / 48.7603; 8.2364


「クアハウス (バーデン=バーデン)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「クアハウス_(バーデン=バーデン)」の関連用語

クアハウス_(バーデン=バーデン)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



クアハウス_(バーデン=バーデン)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのクアハウス (バーデン=バーデン) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS