オクサーナ・リーニフ

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オクサーナ・リーニフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2025/04/25 00:47 UTC 版)

オクサーナ・リーニフ Оксана Линів Oksana Lyniv
生誕	(1978-01-06) 1978年1月6日（47歳）
出身地	ウクライナ ・リヴィウ州・ブロディ市
学歴	ミコラ・リセンコ記念リヴィウ国立音楽院（1996年-2003年） ドレスデン音楽大学
ジャンル	クラシック音楽
職業	指揮者
担当楽器	指揮
公式サイト	Official website of Oksana Lyniv

ポータル クラシック音楽

オクサーナ・リーニフ（英語: Oksana Lyniv, ウクライナ語: Линів Оксана Ярославівна; 1978年1月6日 - ）は、ウクライナの女性指揮者。

概要

オクサーナ・リーニフは、ウクライナ出身の指揮者であり、国際的に活躍するクラシック音楽の第一人者である。2021年7月25日、バイロイト音楽祭で女性として初めて指揮者を務め、ワーグナーのオペラ『さまよえるオランダ人』を指揮した^[1][2][3]。2017年から2020年までオーストリアのグラーツ歌劇場およびグラーツ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務め、女性として初めてこの役職に就いた^[4]。2022年1月1日より、イタリアのボローニャ市立劇場（Teatro Comunale Bologna）の音楽監督に就任し、こちらも女性初の就任となった^[5]。

リーニフは、2016年に故郷リヴィウで国際クラシック音楽フェスティバルリヴィウ・モーツァルト音楽祭(LvivMozArt)を創設し、芸術監督を務めている^[6]。また、同年にウクライナ青少年交響楽団（Youth Symphony Orchestra of Ukraine / YsOU）を設立し、若手音楽家の育成と国際舞台での活躍を支援している^[6]。

経歴

教育

リーニフは、ウクライナのブロディで音楽学校を卒業後、ドロホビッチ音楽カレッジ（ウクライナ語版）で1年間学び、フルートを専攻して1996年にスタニスラ・ルドケヴィチ記念リヴィウ音楽大学（ウクライナ語版）を卒業した^[7]。1996年から2003年までミコラ・リセンコ記念リヴィウ音楽院でオペラ・交響楽指揮をボフダン・ダシャクに師事し、学生時代にリヴィウ歌劇場でダシャクのアシスタントを務めた^[8]。2005年にドレスデン音楽大学の大学院で学び、指揮者エッケハルト・クレムのもとでマスタークラスを受講。ドイツ学術交流会（DAAD）、ゲーテ・インスティトゥート、オスカー＆ヴェラ・リッター財団の奨学生として支援を受けた^[4][6][9]。

音楽活動

リーニフは、バイエルン国立歌劇場、バルセロナ・リセウ大劇場、ウィーン劇場、シュトゥットガルト州立歌劇場、エストニア国立歌劇場、オデッサ国立歌劇場など、ヨーロッパや日本の主要なオーケストラや歌劇場で指揮を務めている^[10]。2008年から2013年までオデッサ国立歌劇場で指揮者を務め、プッチーニの『ラ・ボエーム』、マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』、ヴェルディの『リゴレット』、プッチーニの『蝶々夫人』などを指揮。レオンカヴァッロの『パリアッチ』やボルトニャンスキーの『アルチーデ』の新演出も手掛けた^[11]。2013/2014シーズンからバイエルン国立歌劇場の音楽監督キリル・ペトレンコのアシスタントを務め、2015年に同歌劇場の「クラシック音楽」部門で最優秀指揮者に選ばれた^[4]。

文化外交

オクサーナ・リーニフは、ウクライナのクラシック音楽の開発を担当しており、世界でウクライナ文化大使として知られている。リヴィウ市の名誉大使にも選ばれている^[12]。

リヴィウでのモーツァルトの記憶の復活

オクサーナ・リーニフは、ヴォルフガング・モーツァルトの末息子であるフランツ・クサーヴァー・モーツァルトが住み、活動をしていたリヴィウやブロディの他の地域で、モーツァルト家の記憶の復活を積極的に推進している。リヴィウ・モーツァルト音楽祭を作成する過程で、モーツァルト家との良好な関係が確立された。2019年にはリヴィウが「モーツァルトの道」国際協会に加盟し、モーツァルト財団（モーツァルテウム）との協力を深めている^[13]。

家族

• 夫 - ヴァイオリニストのアンドレイ・ムルザ（2021年11月6日結婚）^[14]。

賞と栄誉

• 2015年 - "Star of the Year" in the nomination "Classics" とミュンヘン・オペラ・フェスティバルの賞^[15]
• 2015年 - バイエルン国立歌劇場「クラシック音楽」部門最優秀指揮者^[4]
• 2017年 - Order "For Intellectual Courage"^[16]
• 2017年 - 「People of Lviv」^[17]
• 2017年 - 「Man of the New Age」^[17]
• 2018年 - BOOM Awards^[18]
• 2018年 - 「ウクライナで最も影響力のある100人の女性」
• 2019年 - 雑誌「Focus」の「最も影響力のある100人のウクライナ人」と雑誌「NV」「トップ100」
• 2019年 - 「芸術活動のために」カテゴリーのTREBBIA国際賞^[19][20]
• 2018年-2019年 - アート部門の4年（オーストリア、グラーツ）
• 2020年 - 「2020年の最高の指揮者」（「Oper！Awards」、ドイツ）^[21]
• 2021年 - Women in Arts Award（英語版）
• 2021年 - 聖オリガ公妃勲章（英語版） - ウクライナ国の国家建設、防衛、社会経済的、科学的、技術的、文化的、教育的発展への重要な個人的貢献、重要な成果、長年の努力、そしてウクライナ独立30周年^[22]
• 2022年 - ヘレナ・ヴァス・ダ・シルヴァ賞（ウクライナの文化的遺産の普及と保存への貢献）^[23]。

出典

[脚注の使い方]

1. ^ Nicola Eißer (2021年10月12日). “Erste Chefdirigentin in Italien: Oksana Lyniv bald in Bologna”. BR-Klassik. https://www.br-klassik.de/aktuell/news-kritik/oksana-lyniv-erste-dirigentin-frau-chefdirigentin-oper-bologna-teatro-comunale-100.html 2021年10月12日閲覧。 
2. ^ Valerio Cappelli (2022年1月3日). “Oksana Lyniv: «Sono direttrice senza quote rosa. Voglio riportare in sala i giovani»”. Corriere della Sera. https://www.corriere.it/cronache/22_gennaio_03/sono-direttrice-senza-quote-rosa-voglio-riportare-sala-giovani-7990fb00-6cd1-11ec-b2f5-59ed4f180ff5.shtml 2022年1月31日閲覧。 
3. ^ “Українка Оксана Линів з оркестром зірвала овації у Байройті (фото)” [Ukrainian Oksana Lyniv and the orchestra received standing ovations in Bayreuth (photos)] (ウクライナ語). glavcom.ua. 2021年7月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月26日閲覧。
4. ^ ^{a b c d} “Оксана Линів — перша жінка-диригент Опери австрійського Ґраца” [Oksana Lyniv — the first female conductor of the Graz Opera, Austria] (ウクライナ語). Радіо Свобода (2017年2月4日). 2017年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月22日閲覧。
5. ^ Крупенко, Катерина (2022年1月4日). “Українка Оксана Линів стане першою жінкою-диригенткою в оперному театрі в Італії” [Ukrainian Oksana Lyniv will become the first female conductor to lead an opera theater in Italy] (ウクライナ語). Суспільне. 2022年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月6日閲覧。
6. ^ ^{a b c} “Дюссельдорф. Жінка-оркестр • Ukrainer” [Düsseldorf. Woman-Orchestra • Ukrainer] (ウクライナ語). Ukrainer (2020年10月24日). 2020年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月20日閲覧。
7. ^ “Перед диригентом і львів'янкою Оксаною Линів зачинила свого часу двері Львівська опера” [The Lviv Opera once closed its doors to conductor and Lviv native Oksana Lyniv, who was recognized by the world] (ウクライナ語). Вголос (2017年2月10日). 2017年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月22日閲覧。
8. ^ “Перед диригентом і львів'янкою Оксаною Линів зачинила свого часу двері Львівська опера” [The Lviv Opera once closed its doors to conductor and Lviv native Oksana Lyniv, who was recognized by the world] (ウクライナ語). Вголос (2017年2月10日). 2017年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月22日閲覧。
9. ^ Ярема, Галина (2016年3月6日). “Оксана Линів: «Я диригувала у багатьох театрах світу. А у Львівську оперу мене не запрошують» — Високий Замок” [Oksana Lyniv: "I have conducted in many theaters around the world. But the Lviv Opera does not invite me"] (ウクライナ語). wz.lviv.ua. 2020年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月20日閲覧。
10. ^ “У Гранд-концерті до 120-річчя Львівської національної опери диригуватиме Оксана Линів” [Oksana Lyniv will conduct the Grand Concert for the 120th anniversary of the Lviv National Opera] (ウクライナ語). Львівський Національний Академічний театр опери та балету (2020年10月1日). 2020年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月20日閲覧。
11. ^ “Оксана Линів: На Заході немає упереджень стосовно диригентів-жінок” [Oksana Lyniv: There are no prejudices against female conductors in the West] (ウクライナ語). Дзеркало тижня. Україна (2015年7月24日). 2017年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月22日閲覧。
12. ^ “Почесні Амбасадори Львова LIVE з Оперного театру” [Honorary Ambassadors of Lviv LIVE from the Opera House] (ウクライナ語). Почесні Амбасадори Львова. 2020年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月20日閲覧。
13. ^ “Оксана Линів: "Музика – це те, що стоїть поза нотами"” [Oksana Lyniv: "Music is what lies beyond the notes"] (ウクライナ語). Craft. 2021年3月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月13日閲覧。
14. ^ “Диригентка Оксана Линів і скрипаль Андрій Мурза побралися у Львові, відео” [Conductor Oksana Lyniv and violinist Andriy Murza got married in Lviv, video] (ウクライナ語). umoloda.kyiv.ua. 2021年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月7日閲覧。
15. ^ “Оксана Линів” [Oksana Lyniv] (ウクライナ語). LvivMozartArt. 2021年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。
16. ^ “Орден «За інтелектуальну відвагу» отримали Оксана Линів, Павел Смоленський та Євген Бистрицький.” [Order "For Intellectual Courage" awarded to Oksana Lyniv, Pavel Smolensky, and Yevhen Bystrytsky] (ウクライナ語). Збруч (2017年12月24日). 2021年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。
17. ^ ^{a b} “Біографія Оксани Линів” [Biography of Oksana Lyniv] (ウクライナ語). LvivMozartArt. 2020年12月5日閲覧。
18. ^ Zaxid.net. “Львів’яни обирають кращих на щорічній премії BOOM AWARDS” [Lviv residents choose the best at the annual BOOM AWARDS] (ウクライナ語). ZAXID.NET. 2021年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。
19. ^ “International Trebbia Awards 2019 :: CCPF Czech-Qatar Chamber of Commerce” (チェコ語). www.ccpf.cz. 2020年12月5日閲覧。
20. ^ “Оксана Линів, диригент: У рамках фестивалю LvivMozArt можна буде почути твори трьох Моцартів” [Oksana Lyniv, conductor: Within the LvivMozArt festival, you can hear works by three Mozarts] (ウクライナ語). Інтерв'ю з України (2019年8月2日). 2021年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。
21. ^ Губенко, Дмитро. “У Німеччині Оксану Линів визнали найкращою диригенткою 2020 року | DW | 01.12.2020” [Oksana Lyniv recognized as the best conductor of 2020 in Germany] (ウクライナ語). DW.COM. Deutsche Welle. 2020年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月5日閲覧。
22. ^ “Указ президента України №406/2021” [Decree of the President of Ukraine №406/2021] (ウクライナ語). Офіційне інтернет-представництво Президента України. 2021年8月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月25日閲覧。
23. ^ “Премія Хелени Ваз де Сілва. Оксану Линів відзначили Європейською нагородою за поширення та збереження культурної спадщини” [Helena Vaz da Silva Award. Oksana Lyniv honored with a European award for promoting and preserving cultural heritage] (ウクライナ語). nv.ua. 2022年8月23日閲覧。

外部リンク

• オクサーナ・リーニフ (/oksana.lyniv) - Facebook
• オクサーナ・リーニフ (@LynivOksana) - X（旧Twitter）
• Official website of Oksana Lyniv
• Opera4u.com GmbH agency page on Oksana Lyniv
• Philharmonia Lviv page on Oksana Lyniv