エア・トランザット961便事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/26 09:56 UTC 版)
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尾翼の損傷
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| 事故の概要 | |
|---|---|
| 日付 | 2005年3月6日 |
| 概要 | 疲労破壊による方向舵の脱落 |
| 現場 | |
| 乗客数 | 262 |
| 乗員数 | 9 |
| 負傷者数 | 0 |
| 死者数 | 0 |
| 生存者数 | 271 (全員) |
| 機種 | エアバスA310-308 |
| 運用者 | |
| 機体記号 | C-GPAT[1] |
| 出発地 | |
| 目的地 | |
エア・トランザット961便事故(エア・トランザット961びんじこ)は、2005年3月6日に発生した航空事故である。ファン・グアルベルト・ゴメス空港発ケベック・ジャン・ルサージ国際空港行きだったエア・トランザット961便(エアバスA310-308)の方向舵が疲労破壊により飛行中に脱落した。パイロットはファン・グアルベルト・ゴメス空港への緊急着陸に成功し、乗員乗客271人は全員無事だった。2020年3月まで事故機は、無事故でエア・トランザットで運用されていた。[2][3][4][5]。
調査の結果、方向舵の検査手順が適切ではなかったと結論付けられた[6]。事故後、機体の複合構造への検査手順が変更された。
事故の経緯
961便はEST2時48分にファン・グアルベルト・ゴメス空港を離陸した。機体は巡航高度の35,000フィート (11,000 m)に達し、客室乗務員が機内サービスを開始した。3時02分に機体が突然激しく揺れ、ダッチロールに陥り上昇し始めた。パイロットはフォートローダーデール・ハリウッド国際空港へ緊急着陸を行おうとしたが、エア・トランザットのオペレーションセンターはファン・グアルベルト・ゴメス空港へ引き返すことを勧めた。コックピットでは警報は何も作動しておらず、方向舵やヨーダンパーに問題があると考えられた。4時19分に961便は緊急着陸に成功した。駐機場でパイロットらは外部点検を行った。それにより、垂直尾翼から方向舵が脱落していることに気付いた[6]。
事故調査
異常が発生してから着陸するまでの時間が長かったため、フライトデータレコーダーとコックピットボイスレコーダーは問題が起きた瞬間のデータを記録していなかった。調査委員会は事故機の方向舵に疲労亀裂が生じ、飛行中に方向舵が脱落したと結論付けた。A310の尾部は、疲労の成長を食い止めるような構造にはなっていなかった[6]。
カナダ交通安全委員会は、複合材料を用いていたA310の方向舵検査が不十分であったと結論付けた[7]。そのため、方向舵自体の耐久強度も疑問視された。961便の事故は、エアバスA300-600/-600RやエアバスA310の方向舵の問題について警鐘を鳴らす契機となった。
事故後
事故機は2020年2月以前までエア・トランザットに在籍していたが3月末に登録抹消され2021年10月にモントリオール・ミラベル国際空港で機体は解体された。[4][5]。
関連項目
脚注
- ^ “Canadian Civil Aircraft Register (C-GPAT)”. Transport Canada.
- ^ “Canadian Civil Aircraft Register: Aircraft History Details”. Transport Canada (2009年11月18日). 2017年1月17日閲覧。
- ^ “Flight Activity History (C-GPAT)”. FlightAware.com (2017年1月17日). 2017年1月17日閲覧。
- ^ a b “C-GPAT Air Transat Airbus A310-300” (英語). www.planespotters.net (2021年10月29日). 2025年10月9日閲覧。
- ^ a b “Airfleets aviation”. www.airfleets.net. 2025年10月9日閲覧。
- ^ a b c “Report Number A05F0047”. Transportation Safety Board of Canada (TSB) (2007年11月22日). 2008年8月26日閲覧。
- ^ “Airbus inspection program inadequate at time of incident: Board”. Toronto Star. (2007年11月23日)
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