アスピディスカとは? わかりやすく解説

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アスピディスカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/01/18 14:54 UTC 版)

アスピディスカ
Aspidisca sp.
(A. aculeata?)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: アルベオラータ Alveolata
: 繊毛虫門 Ciliophora
: 旋毛綱 Spirotrichea
亜綱 : 下毛亜綱 Hypotrichia
: ユープロテス目 Euplotida
: アスピディスカ科 Aspidiscidae
: アスピディスカ属 Aspidisca
学名
Aspidisca
Ehrenberg1830[1]

アスピディスカ Aspidisca は、下毛類に属する繊毛虫の1属。腹面の繊毛は太い棘毛となって少数のみで、口の部分は狭くて細胞やや後方側面に開く。小型で背面には稜がある。

特徴

下毛目の繊毛虫は腹背に平らで、腹面の繊毛は複数が束になって棘毛を形成する。本属のものではその程度が特に強く、ごく太いものが十数本しかない。

全形は楕円形で、硬くて変形はしない。背面にははっきりした畝状の縦に走る隆起がある。腹面は扁平で、右側に周口膜域がある。その長さは細胞全体にわたるほどあるが、前後2つに分かれ、個々には狭い。前方のそれは小さく、後方のものがより大きくて細胞口に続く。腹面には前半部と後半部でやや異なった形の太い棘毛が数本ずつある。

和名として、水野(1964)は A. costata をメンガタミズケムシとしているが、同書でも上位分類群の名はアスピディスカ属・アスピディスカ科を採っている。月井(2010)は属の和名、ただし別名としてメンガタミズケムシを採っている。

生態など

A. costata は淡水産で、岡田他(1976)は「池沼、みぞなど停水中に」住むとしている。腹面で基盤の上を這うように運動し、よく跳躍する。この時腹面の太い棘毛が跳躍運動に役立つ[2]。 月井(2010)は本属のものの動きの特徴として「絶えず方向を変えながら、くるくる回るようにして移動」する点を挙げている。腐植質の多い水域でごく普通に見られるとも[3]

分類

岡田他(1965)と水野(1964)はアスピディスカ科としている。 A. costata が岡田他(1965)はじめ図鑑によく取り上げられており、水野(1964)や水野・高橋(1991)はもう1種 A. turrita を取り上げている。両者ともよく似ているが、前者は背面の稜が6、後者は1である。 月井(2010)によると A. costataA. cicada の学名が正しい。また、他に A. aculeataA. sterini の2種を挙げている。前者は背面の稜が4、後者は0である[4]

全世界の淡水・海水から約30種が知られている[1][5]

出典

  1. ^ a b WoRMS, Aspidisca, World Register of Marine Species英語版, http://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=179324 2015年1月18日閲覧。 
  2. ^ 岡田他(1976),p.135
  3. ^ 月井(2010),p.62
  4. ^ 月井(2010),p.62
  5. ^ Jiang, Jiamei, et al. (2013). "Morphology of two marine euplotids (Ciliophora: Euplotida), Aspidisca fusca Kahl, 1928 and A. hexeris Quennerstedt, 1869, with notes on their small subunit rRNA gene sequences". European Journal of Protistology 49 (4): 634–643. doi:10.1016/j.ejop.2013.04.005. 

参考文献

  • 水野寿彦・高橋永治編、『日本淡水動物プランクトン検索図鑑』、(1991)、東海大学出版会
  • 水野壽彦、『日本淡水プランクトン図鑑』、(1964)、保育社
  • 月井雄二、『原生生物 ビジュアルガイドブック 淡水微生物図鑑』、(2010)、誠文堂新光社
  • 岡田要他、『新日本動物圖鑑〔上〕』、(1965)、図鑑の北隆館



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