おけさねこ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/21 16:01 UTC 版)
佐渡おけさの由来譚でもある。実際の由来については佐渡おけさの項目参照。
あらすじ
佐渡島(現:佐渡市)の小木に、老夫婦と飼い猫の「あさ」が住んでいた。夫婦はあさを娘同然にかわいがっていた。蕎麦屋を営んでいた二人だが、人が好すぎるがゆえに借金を背負い、店をたたんで住み慣れた土地を離れなければならなくなった。あさを連れていくことはできない。あさもそのことを察してか、寂しそうに姿を消したのだった。
その夜、若い娘が二人を訪ねてきた。娘は「けさ」と名乗り、蕎麦屋で働かせてほしいという。申し出を断ると、けさは小判を差し出し、この金を元手に店を再開してはどうかと提案してきたのである。金を借りて店を再開したところ、けさはよく働き、歌も歌って客に聞かせた。歌は評判となり、歌に合わせて踊る者も出始めた。蕎麦屋は繁盛し、けさの歌も島中に広がっていった。
そんなある日、けさが朝起きてこないのに気付いた夫婦は、部屋をのぞいてみた。するとそこには、猫のあさが、冷たくなって倒れていたのである。あさがけさに姿を変えていたのだと気付いた夫婦は涙を流し、あさを手厚く葬った。それからも、けさの歌は「おけさ節(佐渡おけさ)」と呼ばれ、歌い継がれていったのである[1]。
バリエーション
現代に伝わるおけさねこのストーリーは、どれもおおむね上記[1]のような、猫が恩返しをして店が栄え、佐渡おけさが歌い継がれるという流れであるが、以下のような差異も見られる。
- 夫婦がもとは魚屋だったが、けさの助言で蕎麦屋なった[2]。
- 老夫婦の職業が明かされず、最初から飼い猫が二人の前で女性に変身してみせたうえで、歌い踊って金を稼ぐ[3]。
- 店が危機に陥る理由は借金ではなく商売敵が現れたためである。また、ラストにあさが命を落とすことがない[4]。
なお、タイトルについて、偕成社出版の『新潟県の民話』においては「おけさの歌」と紹介されている[1]。
参考文献
- 日本児童文学者協会 編『新潟県の民話』偕成社、1986年、65-71頁。ISBN4-03-522130-9
- ゆきのゆみこ 文 赤坂三好 絵『チャイルド絵本館 日本のどうぶつ昔話一 おけさねこ』チャイルド本社、1994年。ISBN4-8054-8550-7
- 日本民話の会 編『新しい日本の語り5 藤原ツヂ子の語り』悠書館、2013年、99-104頁。ISBN978-4-903487-63-2
- 川内彩友美 企画・制作, 高沢孫一 演出・作画, 沖島勲 文芸, 西村邦子 美術. おけさねこ(まんが日本昔ばなし4). 市原悦子, 常田富士男 語り, 2023. 愛企画センター, 2023, (DVD).
出典
- ^ a b c 日本児童文学者協会 編『新潟県の民話』偕成社、1986年、65-71頁。ISBN4-03-522130-9
- ^ ゆきのゆみこ 文 赤坂三好 絵『チャイルド絵本館 日本のどうぶつ昔話一 おけさねこ』チャイルド本社、1994年。ISBN4-8054-8550-7
- ^ 日本民話の会 編『新しい日本の語り5 藤原ツヂ子の語り』悠書館、2013年、99-104頁。ISBN978-4-903487-63-2
- ^ 川内彩友美 企画・制作, 高沢孫一 演出・作画, 沖島勲 文芸, 西村邦子 美術. おけさねこ(まんが日本昔ばなし4). 市原悦子, 常田富士男 語り, 2023. 愛企画センター, 2023, (DVD).
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