X線回折
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/13 04:35 UTC 版)
微小角入射X線回折
微小角入射X線回折(視斜角入射X線回折)は全反射臨界角に相当する0.5°以下の視射角で入射することで従来であればX線を透過する試料においても表面のX線の反射、屈折による測定が可能になる[2]。
X線表面分析
マクロな大きさの試料に対してX線を当てる場合、X線はその表面の数百µmまでしか侵入しない。そのためX線回折法は物質表面に限定して結晶構造を調べる手法となる。
X線の波長をλ、2つのX線の光路の距離差をdとすると、ブラッグの条件によりnλ=dを満たすときに、X線の強度が最大になる。この条件を用いて、出力されたピークの位置から試料の格子定数を求め、表面の原子構造を導く。
試料の膜面垂直方向の格子定数を測定する場合を考える。格子を入射したX線と試料表面との角度がω=θχ、入射方向と反射方向との角度を2θχのとき、膜面垂直方向の格子面間隔をDとすれば、D=2dsinθχとなる。この場合はω=θχであるが、実際には散乱によりω=θχ以外の条件の角度にも散乱X線が出ており、ωとθχの条件を変えることで膜面面内方向の格子定数も測定することができる。このようにして測定した2次元の強度の分布を逆格子マップという。
参考文献
- Bendory, Tamir; Edidin, Dan (2022). “Algebraic theory of phase retrieval”. arXiv preprint arXiv:2203.02774. doi:10.48550/arXiv.2203.02774 .
- 塩谷浩之, 郷原一寿「位相回復―計算アルゴリズム―」『計測と制御』第50巻第5号、計測自動制御学会、2011年5月、332-337頁、doi:10.11499/sicejl.50.332、ISSN 04534662、CRID 1390290239002406144。
関連項目
- ^ 井田隆「粉末回折法の使い方(5)ー 物質の同定と定性分析,データベースの利用 ー」『Journal of Flux Growth』第5巻第2号、日本フラックス成長研究会、2010年、pp. 50-51。
- ^ 表和彦「入門講座 界面のはかりかた 微小角入射X線回折で界面の構造をみる」(PDF)『ぶんせき』2006年第1号、日本分析化学会、2006年1月、2-8頁、ISSN 03862178、NAID 10017165528、CRID 1520853832292206720。
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