W-スピン クオ・メソッド

W-スピン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/23 09:19 UTC 版)

クオ・メソッド

前述したダブルスピンを引き出す為に重要になる意識可能な動きはシミュレーションの結果によれば、肩腕部の捻れ動作ではなく、骨盤の反転動作による1stスピンを如何にして引き出せるかという問題に直面する。そこで手塚は実際に現場で扱っているアスリートらのイメージ像に限りなく近づける操り方に相当する操縦方法が存在する筈。何故なら動作を複雑化してしまい、現場感覚にそぐわない。それは骨盤の仙腸関節とよばれる部位の可動域と弓状線に重心操作の権限が集約する…。ここが実動作における制御レバーの役割を持つのでは?と推理した。

そこでこのCUO・M(Connective Unified Operation Method)=クオ・メソッド。日本語に訳すと、統括連結操作術(とうかつれんけつそうさじゅつ)。そう名付けられたこの理論、体操は従来考えられてきた腕を振る事によって成立する投法、打法ではなく、脊柱を中心とした回旋動作の結果としてオートマチックに遂行される「W-スピン」という運動様式を発生させやすくするための体に近づく為の手段として考案されたものである。

ピッチングにおいては二枚の腸骨と一つの仙骨によって成立する骨盤。その腸骨をスウィング動作の臍下丹田として見出し、「弓状線」と呼ばれるアーチから、投手の腕が生えでているという身体感覚と発想を促進する。その結果として下半身主導のピッチングが実現され、再現性と球速の向上、各関節の負担軽減が期待される。

バッティングにおいてもピッチングと同様に弓状線から生えでたバットが骨盤の回旋にヘッドを遅らせてスウィングされる事により、手塚の考える打者の能力=「討ち取られづらさ」を向上させる働きが期待される。

ピッチング、バッティングは共に、「かませ」〜「隠し」〜「ズバッ」の三つの意識によって実現が可能であり、クオ・メソッドはその三つの意識に対応して、構成されている。 また2008年10月よりクオ・メソッドは第二世代に突入した。

習得への手順(第一世代)

第一世代では以下の6つの手順に分かれている

  • 「骨盤帯分割」(第一週)
  • 「かませ」(第二週)
  • 「隠し」(第三週)
  • 「ブラッシング」(第四週)
  • 「脊柱ヨジリ」(第五週)
  • 「四肢の連結操作」(第六週)

「骨盤帯分割」では地面深く根を生やすかのような意識で呼吸を整え、重心の意識を新たにするためのイメージアップを図る。また、二枚の腸骨と仙骨で形成されていた骨盤の骨格を実用的なイメージへとシフトさせるため、三つに分割する体操も行う。

「かませ」では足の頂点を弓状線と捉えるために軸足となる足を片足でバランスを整え直す。安定した低重心のイメージングと操作法を徹底。

「隠し」では打撃、投球共に必要になる並進運動の反復訓練である。

「ブラッシング」で1stスピンを引き出すための動作に入る。後ろ側の骨盤を前の骨盤にあたかもビリヤードのようにぶつけるかのように擦れ合わせ、急激に反転させる事により確実で、よりキレのある股関節の回旋を生み出そうという鍛錬である。

「脊柱ヨジリ」では「かませ」〜「ブラッシング」までの動作を連続的に再現する。完全に腕を脱力させ、あたかもでんでん太鼓のように脊柱を回旋させ、遠心力によって腕が水平に持ち上げられ、「他動的に」動かされる感覚を養う。そして軸足は完全に踵が浮いている状態に。

「四肢の連結操作」でピッチング、バッティングの原型は完成する。ピッチングにおいてはスティック状の物を手に持ち、肩口にセットし、一連の動作をなぞれば1stスピンによって勝手に2ndスピンが連鎖的に完成し、ダブルスピン投法が出来上がる。バッティングではバットを持ち、一連の動作をなぞれば、ダブルスピン打法は完成する。意図的な力みの介在しないしなやかな腕の使い方を覚え込ませる。

習得への手順(第二世代)

  • 「骨盤帯分割」(第一週)
  • 「かませ」(第二週)
  • 「弓ー先連結」(第三週)
  • 「隠し・タメ」(第四週)
  • 「ブラッシング」(第五週)
  • 「パンチング」(第六週)

「骨盤帯分割」では地面深く根を生やすかのような意識で呼吸を整え、重心の意識を新たにするためのイメージアップを図る。また、二枚の腸骨と仙骨で形成されていた骨盤の骨格を実用的なイメージへとシフトさせるため、三つに分割する体操も行う。

「かませ」では足の頂点を弓状線と捉えるために軸足となる足を片足でバランスを整え直す。安定した低重心のイメージングと操作法を徹底。

「弓ー先連結」ではピッチングの場合、弓状線から指先までを一本の長いムチになったイメージで、つなげさせる。バッティングでは弓状線からバットのヘッドまでが一本の長いムチになったようなイメージでつなげる。

「隠し・タメ」ではピッチングとバッティングによって名前が異なる。ピッチングでは軸足側の弓状線を隠すため、隠し。バッティングでは軸足側の弓状線に重みを残しボールとの間合いを調整するのでタメとなっている。

「ブラッシング」で1stスピンを引き出すための動作に入る。後ろ側の骨盤を前の骨盤にあたかもビリヤードのようにぶつけるかのように擦れ合わせ、急激に反転させる事により確実で、よりキレのある股関節の回旋を生み出そうという鍛錬である。

「パンチング」では1〜6までの6つの手順をパンチを放つイメージで身体操作術をラッピングする。

(ここで挙げた【クオ・メソッド】の手段はあくまでも一例であり、バランスボールやゴムバンドを用いたものや、徒手的アプローチ、さらにはタイム・マーキングを応用したものまで多様である。)

基本的に【クオ・メソッド】の獲得の順番は同一である。ピッチング、バッティング用の種目によって、多少の変化が確認されるが、根本的な目的は同一である。プロの選手では【クオ・メソッド】の獲得に最低、6週間の期間を設ける。 この【クオ・メソッド】の有効な運動種目は人間の歩行動作、ランニングにまで効果を示し、様々なスポーツに応用が可能である。


  1. ^ 手塚一志『プロ野球 バッティング&ピッチング解体振書』ISBN 4-569-66181-5、181〜184ページ。
  2. ^ ジャイロボール
  3. ^ ピッチングの正体
  4. ^ プロ野球ピッチング解体振書
  5. ^ プロ野球バッティング解体振書





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