W-スピン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/23 09:19 UTC 版)
二重振り子に代表される危険な動作
手塚によると、従来の「壁を作る」意識を持たせるフォームの理論は誤ったものであるとされる。壁を作ることで、脊柱や肩の回旋にブレーキが掛かり、身体の特定の部分(とくに、投球時は投げるほうの肩)の筋肉にダメージが蓄積され、故障の原因となる。何故ならば回旋運動による投球動作ならば、関節に掛かる負担が分散される格好となるのに対し、ブレーキング運動の反動でリリースする動作では収縮される筋肉が限定される為である。また、回旋にブレーキをかけるタイミングの微妙なずれが、コントロールが悪くなる原因になるとしている。[1]バッティングにおいてはタイミングのズレが大きく再現性を持たせるには不利な動きとしている。
従来の「壁を作る」理論を、振り子の糸を支点とは別の点で固定して振らせる動きになぞらえて「二重振り子」と呼んでいる(「二重回旋」を「ダブルスピン」と呼び替えたのは、二重振り子との用語の混同を避けたためとされる)。
二重振り子以外にも故障を招き、危険とされる動作を手塚は提示している。三角筋を優位に働かせた「アウターマッスル投法」や、ラジオ体操のように、テイクバックの際に腕を畳まず広げたまま投球動作に移る「ラジオ体操型テークバック」。そこから無理矢理腕をしならせようとする「遠心力投法」などである。この遠心力投法は見た目はダブルスピンに似せて投げる事は可能だが、肩腕内部の筋力発揮がダブルスピン投法とは異質であるため、判断には注意が必要である。この場合関節内のこすれやひっかかりを誘発させやすく、投げるたびに筋肉を消耗させながらピッチングをしているようなものなのだという。さらには随意的な筋力に任せて腕を持ち上げ肘を伸展する直線的な動作は回旋運動を発生させづらく、また短時間での高い筋出力を要し、末端部の随意出力は拮抗筋の共縮状態つまりは関節の付着する組織らを引き剥がすストレスを招きやすいため何れにしても怪我のリスクは付きまとう。
ピッチングにおいてはどれだけ上肢をリラックスさせた状態を保てるかが一つのポイントになる。意識して捻る危険性を手塚は一貫して主張。[2]
- 1 W-スピンとは
- 2 W-スピンの概要
- 3 二重振り子に代表される危険な動作
- 4 適性
- 5 クオ・メソッド
- 6 ランナーズ・クオ
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