IRA (アメリカ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 19:21 UTC 版)
ロールオーバーIRA
401(k)などの雇用主が提供する退職資金プラン加入者は、雇用元を退職後にその退職金プラン口座から資金を引き出して雇用主のプランとは無関係の「ロールオーバーIRA」口座に資金をロールオーバー(移転、roll over)することができる。ロールオーバーによる資金移動が運営会社間で直接行われれば課税上の問題はなく全額が移転されるが、一旦現金や小切手などの形で本人の手に渡る場合はロールオーバーを偽った引出し防止のために繰延所得税(20%)と59歳半前引出しの10%の罰金が源泉徴収される(後日ロールオーバーが適切に実施されれば確定申告で還付)。
ロール―オーバーすると以下のようなメリットがある。
- 雇用主が提供する退職資金プランが解散などで消滅した場合の受け皿(退職資金プラン自身は雇用主と独立しているので、たとえ雇用主が倒産してもそのプラン内の資金は保全され、多くの場合、運営会社が従業員個人のロールオーバーIRA口座を開設して資金を移転する)
- 雇用主が提供する退職資金プランは一般的に20~30程度の投資先しか提供しないが、ロールオーバーIRAでは証券会社の提供する数百の投資先から選べる
- 複数の過去の雇用主提供退職資金プラン資金を一つのロールオーバーIRAにまとめられるので管理が楽になる(例えば、401(k)のMRDは毎年それぞれの401(k)口座の残高に見合った金額をそれぞれの口座から引き出さねばならないが、ロールオーバーIRAなら他の通常IRAと合算した残高に見合う金額をどの口座からでも引き出せばよい)
ただし
- 雇用主提供退職資金プラン口座内の資金は常に破産から保護されるが、州によってはロールオーバーIRAを含む雇用主提供退職資金プランでないIRAはそうでないことがある
というデメリットも存在する。
雇用主提供退職資金プランでないIRAの資金をロールオーバーすることもでき、証券会社にとっては他社にある退職資金口座内の資金を自社に取り込む絶好の機会なので宣伝などで積極的にロールオーバーを促している。
ロールオーバー元の資金には、通常401(k)・IRAとRoth 401(k)・IRAは元利課税繰延と運用益非課税の違いがあり、また通常IRAでも課税前拠出(元利課税繰延)と課税後拠出(運用益のみ課税繰延)の違いがあるので、ロールオーバー元の課税扱いに応じたタイプのロールオーバー先の口座(課税前拠出の通常IRA、課税後拠出の通常IRA、Roth IRA)に分離しなければならない。一旦ロールオーバーすると原資が雇用主提供退職資金プランから来たことは忘れられ、単に当該タイプのIRAとして扱われる。
- ^ What Is a Backdoor Roth IRA? 2016年8月24日閲覧
- ^ Fed U.S. Federal Individual Income Tax Rates History, 1862-2013 2014年2月5日閲覧
- ^ Low-Minimum Funds Well-Suited as myRA Alternatives 2014年2月5日 2014年2月5日閲覧
- ^ All about the myRA 2014年2月11日 2014年2月21日閲覧
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