日本の競馬の競走体系 地方競馬

日本の競馬の競走体系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 03:26 UTC 版)

地方競馬

地方競馬の場合、これまでは主催者ごとにルールが異なっていたが2010年4月以降は全ての地方競馬で呼称は統一することが発表されている。以下でこれまでの代表例とともに挙げて論じることとする。

競走条件区分

  • 2010年3月まで
競走条件区分は年単位で番組賞金額によって定められている地域と開催毎、月毎、季節毎に基準額が変動する地域など様々である。クラス付けは基本的にアルファベットの若い順、次いで数字(アラビア数字ローマ数字)の若い順が上位となる。殆どの地域はA・B・Cまでだがホッカイドウ競馬はD、高知競馬はGまで用いていた[注 5]
  • 2010年4月より
クラス付けの大区分が全国統一のA・B・Cの3つになる[注 6]。ただし競馬場毎に格付けの基準が変わるのは今までと変わらない。なお大区分の基準はA・B・Cで約1:2:7とすることを目指すとしている。

番組賞金(地方競馬)

地方競馬のクラス編成は番組賞金と呼ばれる値で決定される。ただし番組賞金額の算出方法やクラス編成は主催者によってさまざまである。前々週の最終日終了時点の番組賞金額でクラス分け・出走優先順位が決定される。地方競馬では5着以内に入るとその賞金額に応じて番組賞金額が加算されることが多い。したがって、未勝利でも上位入賞が多いと賞金が加算されてクラスが上がる。また総賞金額と馬齢、賞金獲得時期が加味されることもある。

格付け方法

ばんえい競馬

格付けは「帯広市ばんえい競馬番組編成要領」(2011年度 (PDF)2012年度 (PDF)2013年度 (PDF)2014年度 (PDF) )で定められている。

原則として、開催中の年度から数えて3つ前の年度当初を起点とした総収得賞金(通算収得賞金)でクラスを決定する(例えば2018年度のクラス分けは、2015年度の当初からの賞金で計算する)。また、クラス分けの基準額は年度ごとに変更される。

以下の馬齢表記はいずれも開催年度当初基準であり、年度のうち年明け(1月から3月)は馬齢を1つ上のもので読み替える。

格付けは2歳馬と3歳以上馬で分かれている。

2歳
本年度収得賞金順に格付けする。
3歳以上
通算収得賞金に基づきクラス分けする。基準額は以下の通り(2018年度現在[14]):オープン(450万円以上)・A1(450万円未満)・A2(350万円未満)・B1(290万円未満)・B2(230万円未満)・B3(180万円未満)・B4(140万円未満)・C1(100万円未満)・C2(50万円未満)
  • ただしC1・C2は3・4歳馬のみの格付けで、5歳以上の馬は最低でもB4となる。
  • 他主催者でも、最上位クラスであるA級・A1級1組を含む競走のクラスを「オープン」という言い方をする場合はあるものの、ばんえい競馬の「オープン」はA1よりもさらに上の級として存在している。

ホッカイドウ競馬

格付けは北海道地方競馬番組編成要領 (PDF) (2013年度)によって定められる。

3歳以上の馬で冬季休催期間中に他地区へ一時移籍して出走したホッカイドウ競馬所属馬が翌年の開幕前に再度ホッカイドウ競馬へ戻ってきた場合は「再転入馬」、冬季休催期間中に出走がなかった場合など、最終出走が前年以前だった馬は「経歴馬」(このうち、初出走以降ホッカイドウ競馬に継続出走している馬は「限定経歴馬」と定めている)、JRAや他地区から転入した馬で、過去にホッカイドウ競馬での出走歴がない馬は「転入馬」として区別されている。

格付けには番組賞金が用いられる。この計算方法は各馬齢により異なるほか、JRAや他地区で獲得した賞金も算入する(JRAの障害競走など、算入しないものも一部ある)。また、他地区からの転入馬は計算式が別になっており、各馬の番組賞金計算は煩雑になる。

2歳馬

番組賞金により、1・2・3・4、新馬、認定未勝利、未勝利の7段階に分かれている。

2歳未勝利馬が転入してきた場合の当初格付では、番組賞金を0円として取り扱うこととされている。

3歳馬

番組賞金別に1・2・3・4、未勝利と区分され、全部で5段階となっている。

経歴馬(再転入馬を含む)、未出走馬、転入馬(過去にJRAでの登録がない馬のみ)はまず3歳条件に格付けされ、その後以下の条件(2013年度)を満たした馬は一般馬に格付けされる。

  • 開幕 - 第2回開催終了まで:400万円を超える馬が1着となった場合
  • 第2回開催終了時:400万円を超えている場合
  • 第3回開催 - 第4回開催終了まで:250万円を超える馬が1着となった場合
  • 第4回開催終了後:すべての3歳馬
3歳以上(一般馬)

A級・B級・C級がそれぞれ番組賞金により4段階に細分化され、12のクラスに分かれている。

上記の3歳条件に格付けされている馬は含まない。

岩手競馬

古馬(3歳時8月以降)に関してはA, B1,B2,C1,C2の5クラスである。他地区と異なり、明確な昇級賞金額が設定されていない相対クラス制を導入している。春のシーズン開始時に、在籍馬は15戦、移籍馬は20戦前までの収得賞金を基に、おおむねA〜Cが1:2:7になるように格付けされる。シーズン中はこの時計算した収得賞金は消えずに、シーズン中の賞金を加算しながら昇降を行う。

南関東公営競馬

2014年1月より格付基準や競馬番組が一部変更されているため、その変更点も示す。

2歳馬はクラスに分類されず、競走も2歳馬同士のみで編成される。

3歳以上の馬に関してはA1, A2, B1, B2, B3, C1, C2, C3の8クラスに分類される(2014年1月の改定前は「A3」も存在した)。これは半年ごと(1 - 6月、7 - 12月)に表を用いて分類される。ただしクラスに分類されない未格付け馬(略して未格馬とも)も存在する。3歳1月以降、番組賞金額の多い馬より指定された月にクラスに分類されていき、4歳1月の段階で全ての馬がいずれかのクラスに分類される。未格付け馬については、同一馬齢の未格付け馬同士での競走が編成される。2014年1月の制度改定後は未格付け馬は3歳馬しか存在しないものの、それ以前は全馬がクラスに分類されるのは4歳4月からであり、4歳の未格付け馬も存在していた。

予備投票の段階で同一クラスの出走馬が多い場合、番組賞金順に応じて漢数字を用いたC1一組、C1二組と細分化する。漢数字はあくまでも同じクラス内を上から順番に並べているだけなので、開催によっては同じ「C2五組」でも番組賞金が多い場合も少ない場合もある(ただしC2のクラスの賞金内であることは明らか)。未格付け馬はアラビア数字を用いて「3歳1組」などと分類する。

新馬などのように番組賞金が同一で順番に並べない場合や近年では前後のクラスを統合し、距離適性にあった競走に出走させるべく多くの馬を1つの分類としてまとめた際にはいろはを用いて「C1二・三組(イ)」などの競走が設けられる。

A2以下における中央競馬との交流競走は、4歳(3歳)以上が「南関東A2, B1と中央2勝クラス」、「南関東B2, B3と中央1勝クラス」で、3歳が概ね6月まで「南関東未格付け馬と中央未勝利馬」、概ね7月以降「南関東C1下(未格付け馬を含む)と中央未勝利馬」で行われている。

なお、南関東では番組賞金の加算時期について、翌開催終了後という決まりがあり、当該開催中の競走で第1着を取った馬が、翌週に他地区(大井を除く)で行われる開催に出走する場合、JRAでは前述の通り1988年限りで廃止された『勝ち得』が適用されることがある。「前走1着で昇級予定もしくは未格付を抜ける予定の馬が昇級前のクラスに出走する場合は前走特別勝ち馬で+2kg、前走平場勝ち馬で+1kg。ただし、前走は南関他地区を含む1開催前までが対象」である。大井競馬場以外の3つの競馬場に所属する一部の調教師は管理馬に連闘をかけさせるケースもあるが、前走を勝って翌週も連闘というのは21世紀になってからはほとんど見られなくなってきている。

東海公営競馬(名古屋・笠松)

古馬(3歳時11月以降)に関してはA, B, Cの3クラスであり、2・3歳馬に関しては馬齢のみ。2・3歳馬は、番組賞金が250万円に達すると古馬の格付けがなされる。

金沢競馬

古馬はA1, A2, B1, B2, C1, C2の6クラス、3歳馬はA, Bの2クラスで、2歳馬は馬齢のみ。3歳馬は第4回開催以降番組賞金が200万円に達すると古馬の格付けがなされ、第13回開催以降はすべて古馬のクラスに編入される。2歳馬は番組賞金が600万円に達すると古馬の格付けがなされる。

番組賞金の計算は、開催年度の前々年1月以降が対象となる。金沢競馬独自のルールとして、冬期休業期間(1月~3月上旬)に他場へ短期移籍の上出走して得た賞金は、翌年度以降の賞金計算において全額除外される。

兵庫県競馬(園田・姫路)

古馬に関してはA1, A2, B1, B2, C1, C2, C3の7クラス、3歳馬に関してはA, B, C1, C2の4クラスに分類され格付けは他の主催者のように番組賞金額ではなく「ポイント」で決定する方法を採っている。ポイントは5着以内に入るとそれぞれの着に応じたポイントがもらえ一定のポイントに達すると昇級できるが、逆に格付修正時に同一クラスでの近3走の着順合計の多い順に降級(ポイントは次走1着で昇級となるポイントに減点)となる。

高知競馬

古馬(3歳時10月以降)に関してはA, B, C1, C2, C3上, C3下の6クラスであり、2・3歳馬に関しては馬齢のみ。計算に使用する獲得賞金は、4〜9月に開催初日となる場合は前々年の4月以降、10〜3月に開催初日となる場合は前々年10月以降の賞金のみが対象となるため、それ以前の獲得賞金についてはクラス分けに全く関係しない。また2・3歳馬は、番組賞金が100万円に達すると古馬の格付けがなされる。

佐賀競馬

古馬に関してはA1, A2, B, C1, C2の5クラス。2・3歳馬に関しては馬齢。ただし、3歳馬は3歳4月以降に番組賞金が200万円に達した場合格付けがなされる。また3歳馬戦は概ね9月末まで施行され、それ以降は古馬の格付けとなる[15]


注釈

  1. ^ 例:オジュウチョウサン
  2. ^ 能力差から、負担重量が軽く設定されるため。
  3. ^ a b 競走名が「障害オープン」となっているものが一般競走、競走名に固有の名称が付与されているものが特別競走に該当する。
  4. ^ このため、4歳春季開催終了の時点で収得賞金が1601 - 2000万円の4歳オープン馬の収得賞金は801 - 1000万円となり、2クラス下がって1000万円以下条件馬となり、同時点で収得賞金が2001 - 3200万円の4歳オープン馬の収得賞金は1001 - 1600万円となり、1クラス下がって1600万円以下条件馬となる。また収得賞金が500万円以下および3202万円を超える馬は降級しないことになる。
  5. ^ かつては兵庫県競馬組合でS・A・B・C・D・T(Tは2歳・3歳のみ)の区分がなされていたが、2009年4月にA・B・Cに再編された。
  6. ^ 地方競馬全国協会がD以下のアルファベットの使用を禁止したため。ただし、ばんえいは対象外で、今でも2歳・3歳はD級が存在し、古馬にもA1級の上にオープン級が存在する。

出典

  1. ^ [1]
  2. ^ 2020年9月22日(火)高知第9競走 競走成績 地方競馬全国協会、2020年9月27日閲覧
  3. ^ a b c 日本中央競馬会 競馬番組 昭和64年春季 "勝抜制の改善について" "勝抜制の廃止に伴う負担重量の取扱い"
  4. ^ 2024年度競馬番組等(日本中央競馬会)
  5. ^ 日本中央競馬会 (2012年11月16日). “2013年度競馬番組等について”. JRA NEWS. 日本中央競馬会. 2013年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月12日閲覧。
  6. ^ 平地競走における競走条件制度(クラス分け)の改善について 日本中央競馬会、2017年7月28日閲覧
  7. ^ 競走条件の呼称変更について 日本中央競馬会、2018年6月25日閲覧
  8. ^ 収得賞金”. 日本中央競馬会. 2014年2月16日閲覧。
  9. ^ a b 「武豊とオジュウ」が福島競馬場に残した軌跡” (2018年7月31日). 2022年7月7日閲覧。
  10. ^ 収得賞金(競馬用語辞典) JRA”. www.jra.go.jp. 2019年12月24日閲覧。
  11. ^ 厳密な規定については 収得賞金の算定方法について を参照のこと。
  12. ^ 平成31年度(2019年)開催日割および重賞競走について JRA”. jra.jp. 2019年12月24日閲覧。
  13. ^ 週刊競馬ブック 2002年4月7日
  14. ^ 平成30年度 帯広市ばんえい競馬番組編成要領 2018年9月15日閲覧
  15. ^ 令和4年度 番組編成要領” (PDF). 佐賀競馬. 2022年4月29日閲覧。


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