損金 損金の概要

損金

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/11 09:54 UTC 版)

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概要

損金は、資本等の取引によるものを除いた法人の資産の減少をきたす原価・費用・損失の額とされる。損金とは、原則としてすべての原価、費用と損失を含む広い概念として捉えられるものである。

法人税法における法人の課税所得に関する基本構造は、法人税法第22条(各事業年度の所得の金額の計算)第1項において、「内国法人の各事業年度所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。」と規定されている。つまり、法人税法における法人の課税所得は、益金の額から損金の額を差し引いた結果の額である。益金及び損金という法的概念を意義付けることによって、演繹的に法人税法における法人の課税所得の意義を明確にすることができる点から、これらの概念は特に重要である。

意義

法人税法第22条第3項では、損金の額の所得金額計算上の事業年度への法的な帰属時期と損金の額の内容に関する事項を規定している。この規定では損金について、「別段の定め」を除くほかは、当該事業年度の損金に算入すべきものとして、原価・費用・損失の次の3つを挙げている。損金の額は、これら原価・費用・損失の額の全部の合計としての総称の意味を持つ。

  • 第一号 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
    この規定において原価の額とは、収益と個別に対応して計算することのできる費用収益対応の原則によって関係付けられた収益の直接の犠牲となった支出をいう。例示すれば、たな卸資産の売上原価、製造原価、完成工事原価、固定資産の譲渡原価等である。
  • 第二号 当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
    この規定における費用とは、個別的に費用収益を対応させることができない費用としての期間対応の原則による費用の額をいう。「その他の費用」には、割引料、支払利息等のいわゆる営業外費用が含まれる。
    なお、この規定において「償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。」として、償却費を除外しているのは、減価償却費は債務の確定という問題が生じないためで、それ以外の費用は「債務の確定」という法的な判定基準が必要となるからである。
  • 第三号 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
    法人が意図しないで不可避的に生じた支出や法人が事業遂行上の必要上生じた資産の損失をいう。例示すれば、風水害、盗難等の偶発的な事故によって生じた滅失損やその他貸倒による売掛金の喪失、消滅時効の完成による債権の消滅等である。

費用計上の帰属時期の法的基準(債務確定主義)

法人税法では、益金における権利確定主義とともに、費用の帰属事業年度を決定する法的基準となる債務確定主義が採用されている。 法人税法第22条第3項第2号にいう「債務の確定」とは、当該事業年度終了の日までに費用に係わる債務が成立し、金額が確定していること、あるいは当該事業年度終了の日までに金額を合理的に算定できることを要件とする。なお、債務が成立するためには、かかる法律効果の発生原因たる法律要件(契約等)の存在することを要する。

なお、この概念に対して、会計学上の発生主義がある。




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