国鉄ワム60000形貨車 運用の変遷

国鉄ワム60000形貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/03 03:24 UTC 版)

運用の変遷

1961年(昭和36年)の製作開始直後から「急行車扱列車」への専属運用に充当され、従前の専属運用車ワム70000形の大半を本形式で置き換えた。急行車扱専用車は側扉部に黄かん色の「急行」標記を付したほか、車両記号標記は特殊標記符号」を前置し「ワム」と標記して識別した。この標記は1965年(昭和40年)に廃止され、以後は国鉄全線で一般貨車との共通運用にも充てられて汎用的に使用された。

国鉄工場に常備され、配給車として部品配送に使用された車両も一部に存在した。当該車両は車体に白色の帯を表示し、常備工場名と「配給車代用」の標記が付された。

国鉄末期、貨物列車の輸送体系を転換し、「ヤード集結形輸送」から「拠点間直行方式」への改組が企図された。この方針は1984年(昭和59年)2月1日国鉄ダイヤ改正で実施に移され、大量の不要車両が発生することから、本形式はワラ1形・ワム70000形・トラ55000形などの形式とともに使用停止の措置が採られた。本形式は他の余剰車両とともに、機能を停止した操車場などの構内に留置の後、逐次除籍処分がなされた。大半は解体処分されたが、一部の車両は倉庫などへの活用を想定して売却が実施された。

1987年(昭和62年)のJR移行では日本貨物鉄道(JR貨物)への承継は皆無で、JR東日本へ5両、JR九州へ3両の合計8両のみが承継された。これらは事業用車(控車)代用として使用されていたもので、検重車ケ10形)を用いた域内各拠点の「台秤」を較正する作業の際に、補助機器の輸送や係員の添乗に用いられた。一部にはユニットサッシの2段窓を側面に設けた車両も存在した。これらの代用車は検重車の使用機会減少で用途がなくなり、最後まで残存したJR東日本の南秋田運転所(現:秋田総合車両センター南秋田センター)所属の3両が2001年(平成13年)4月に除籍され、形式消滅した。


注釈

  1. ^ 本形式初期車に特有の形態で、「額縁」と通称された。
  2. ^ パレット荷役対応の量産車ワム80000形(2代)が1960年から製作を開始する際に、ワム89000形 (89000 - 89002) に改称された。

出典

  1. ^ ジェー・アール・アール 『私鉄車両編成表 2008年版』 による。
  2. ^ 『私鉄車両編成表 2011』ジェー・アール・アール編、2011年、交通新聞社 187頁。ISBN 978-4-330-22711-5
  3. ^ 『名古屋鉄道 (大手私鉄サイドビュー図鑑05)』2021年、イカロス出版、129頁。ISBN 978-4-8022-1038-6


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