ルワンダ虐殺
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修正主義への批判
1994年のルワンダ大虐殺における事実関係については、歴史学的論争の争点となっているが[206]、否定的見解を示す論者はしばしば否認主義として非難される[207]。フツに対するカウンター・ジェノサイド (counter-genocide) に従事したツチを非難する内容を持つ"ダブル・ジェノサイド" (double genocides) 論[208] は、2005年にフランス人ジャーナリストのピエール・ペアンにより出版されたBlack Furies, White Liars内で提唱され議論を呼んだ。これに対し、ペアンの書籍内で"親ツチ派圧力団体"の活発な会員として描かれたジャン=ピエール・クレティエンは、"驚くべき歴史修正主義者の情熱"としてペアンを批判している[209]。
ルワンダ虐殺に関する修正主義者として非難された人物としては、カナダ人ジャーナリストのロビン・フィルポットが知られている[210][211]。フィルポットはルワンダ虐殺に関する権威として知られるジェラルド・キャプランにより、2007年に『グローブ・アンド・メール』紙の記事で「1994年に多数の人々が両陣営によって殺害されたことを以て、ジェノサイドを実行した者とその対象となったものが道徳的に等しい」と評された。キャプランはさらに「旧ルワンダ軍と過激派フツ民兵による、100万人の無防備なツチに対する一方的な謀略ではなかった」とするフィルポットの主張を非難し、「フィルポット氏は、主張が証拠と完全に矛盾していることが明らかになって以降、真実を否定する揺るぎない決意により、もっぱら噂や推測から構成される支離滅裂で奇妙な主張を量産している」と述べている。しかし、1961年から2003年にかけてのルワンダにおける人口動態のグラフが虐殺者および亡命者総数と矛盾することから、ルワンダ虐殺の犠牲者総数を疑問視する者もいる[注釈 2][212][213]。国際連合食糧農業機関のルワンダ人口動態グラフでは600万5000人から592万8000人に[214] 減っており、グラフ上で算出された犠牲者数は7万7000人である。これはヴィクトリア湖の湖岸へ数万体の遺体が流れ着いた証言と一致する。詳細はルワンダ虐殺否認主義を参照。
NHKは当初の100万人以上とされた数値から修正された80万人虐殺説[215] を採用している。
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