ランドール・サンドラム模型 ランドール・サンドラム模型の概要

ランドール・サンドラム模型

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 08:21 UTC 版)

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リサ・ランドールラマン・サンドラムは、当時流行していた普遍的余剰次元模型に不満を持ち、1999年に2つの論文で2つのランドール・サンドラム模型を提案した。これらのモデルには、2つのパラメータ微調整が必要である。 1つはバルク(高次元時空)における宇宙定数の値、もう1つはブレーンの張力の値である。後に、反ド・ジッター/共形場理論(AdS / CFT)対応の文脈でランドール・サンドラム模型を研究している際、彼らはそれがテクニカラー模型と双対になることを示した。

2つの模型のうちRS1と呼ばれる最初の模型は、両端に1つずつ、2つのブレーンを備えた有限サイズの余剰次元を持つ。 [1] 2番目の模型RS2はRS1と似ているが、1つのブレーンが無限に離れて配置されているため、模型に残っているブレーンは1つだけである。 [2]

概要

ランドール・サンドラム模型は、標準模型階層性問題を解くために開発されたブレーンワールド理論である。この模型は、極端に歪んでいる有限サイズの5次元バルクの存在を予言する。バルクは以下の2つのブレーンを含む:プランクブレーン(ここでは重力は比較的強い力として存在する。重力ブレーンとも呼ばれる)とTeVブレーン (標準模型粒子の存在する私たちのいる世界である。「弱いブレーン」とも呼ばれる)。この模型では、2つのブレーンは、それほど大きくない5番目の次元中で、約16単位(ブレーンとバルクエネルギーに基づく単位)分だけ離れている。 プランクブレーンは正のブレーンエネルギーを持ち、TeVブレーンは負のブレーンエネルギーをもつ。これらのエネルギーが時空の極端な歪みの原因となる。

重力子確率密度関数

5番目の次元に沿ってのみ歪んでいるこの歪んだ時空では、重力子確率密度関数はプランクブレーンで非常に高くなりますが、TeVブレーンに近づくにつれて指数関数的に低下する。この場合、重力はプランクブレーンよりもTeVブレーンの方がはるかに弱くなる。

RS1模型

RS1モデルは、階層性問題を解決しようとするものである。余剰次元のゆがみは、ブラックホールなどの巨大な物体の近くでの時空のゆがみに似ている。この時空の歪み(つまり赤方偏移)は大きなエネルギースケールの比を生じ、このため余剰次元の一方の端の持つ自然なエネルギースケールは、もう一方の端よりもはるかに大きくなる。

ここで、 は定数であり、 は「-+++」符号数を持つ。この空間は および 境界があり(ただし )、ここで プランクスケール近辺の値、 はワープ係数、 TeV スケールの値である。 の境界はプランクブレーンと呼ばれ、 の境界はTeVブレーンと呼ばれる。標準模型の粒子はTeVブレーン上に存在する。ただし、両方のブレーンは だけ離れている。

別の座標系では、

とおけば

また

となる。

RS2模型

RS2模型はRS1と同じ時空を使用するが、TeVブレーンは存在しない。標準模型の粒子は、プランクブレーン上にあると推定される。この模型は元来、多くの観点から4次元模型のように振る舞う無限の5次元モデルを表しているため、興味を持たれていた。この設定は、 AdS/CFT予想の研究にも役立つ可能性がある。


  1. ^ Randall, Lisa; Sundrum, Raman (1999). “Large Mass Hierarchy from a Small Extra Dimension”. Physical Review Letters 83 (17): 3370–3373. arXiv:hep-ph/9905221. Bibcode1999PhRvL..83.3370R. doi:10.1103/PhysRevLett.83.3370. 
  2. ^ Randall, Lisa; Sundrum, Raman (1999). “An Alternative to Compactification”. Physical Review Letters 83 (23): 4690–4693. arXiv:hep-th/9906064. Bibcode1999PhRvL..83.4690R. doi:10.1103/PhysRevLett.83.4690. 
  3. ^ M. Gogberashvili, "Hierarchy problem in the shell universe model", arXiv:hep-ph/9812296.
  4. ^ M. Gogberashvili, "Our world as an expanding shell", arXiv:hep-ph/9812365.
  5. ^ M. Gogberashvili, "Four dimensionality in noncompact Kaluza-Klein model", arXiv:hep-ph/9904383.
  6. ^ CMS Collaboration. "CMS Physics Analysis Summary". Accessed: August 4, 2016.


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