タングラム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/02 06:00 UTC 版)
造形
タングラムの7片を使用して、人間・動物・物・文字など様々な形を作ることができる。右の人の絵もその一例である。
現在までに多くの国で多くの人によりタングラムの作品集(問題集)が出版されている。
ジェリー・スローカムらの調査によれば、1920年以前に中国で作られた作品は2200以上[5]である。同時期までにアメリカで約2500[6]、フランスで1500以上[7]、イギリスで500以上[8]、ドイツとイタリアでそれぞれ300以上[9]の作品が作られている。
タングラム・パラドックス
図の2つの人物は同じ大きさのタングラムのセットを並べた物であるが、下の方が三角が一つ多い。このように、よく似ているのに明らかに違う(必然的に並べ方も異なってくる)ような図を、タングラム・パラドックスと呼ぶ。
同じ片を使用している以上全体の面積は同じである。実際に作ってみると分かるが、上の方が三角以外の部分の面積が若干大きくなっている。
凸多角形
タングラムの7片は最初正方形に配列されているが、他の凸多角形を作成することもできる。中国の数学者 Fu Traing Wang と Chuan-Chin Hsiung は、1942年に13種類の凸多角形が作成可能であることを発表している[10]。
13種類の内訳は以下の通りである。
- 三角形 1種
- 四角形 6種(正方形を含む)
- 五角形 2種
- 六角形 4種
右の図は可能な13種類の多角形と、その組み方の例を示している。
文字
タングラムは、図形や絵のほかに文字を造ることもできる。
アルファベットや数字には多くの作例がある。1818年にイタリアで発売された "Al Gioco Cinese Chiamato IL Rompicapo; Appendice" にはすでに掲載されている。それらを用いたフォントを作成する人もいる。
ひらがな・カタカナも作例はあるが、すべての文字を作った人はほとんどいない。清少納言智恵の板においては、いろは48文字すべてに作例がある。
漢字はアルファベットやかなに比べ複雑な物が多いが、多くの文字が作られている。秋芬室による「七巧八分図」には漢字の分類が存在し「七巧」「山川」などの文字が収録されている。厳笠舫は1876年に『七巧書譜』を出版しているが、この中にはタングラムで作った文字が500以上収録されている。
複数のセットを使用した造形
複数のタングラムを使う造形には2種類ある。
1つはすべてのピースで1つの図形を作るものである。右に挙げた「釘抜き」(この名称は清少納言知恵の板に由来する)はタングラム1セットで作ることはできないが、2セット14ピースを使用してこの形(元の√2倍の相似形)を作ることができる。
もう1つは1セットで作られる図形を複数並べて1つの作品とするものである。「ビリヤードをする人たち」はデュードニーの著書に掲載されているもので、2人の人物・ビリヤード台・柱時計がそれぞれ1セットのタングラムで作られている。前節で述べた文字の造形を使用して単語や文章を作ることもこの範疇にあるといえる。
作品集
19世紀から20世紀初頭に出版された主な書籍をあげる。書籍名の後に発行年・国・収録問題数を付記している。
- 七巧図合壁(1813年・中国・約300)
- 中国でも最も古い書籍の1つ。ヨーロッパや日本で翻訳出版された。
- 七巧八分図(1858年・中国・約1700)
- 秋芬室著。約1700題が16のテーマに分類されている。全6巻。
- The Fashionable Chinese Puzzle (1817年・イギリス)
- ヨーロッパ各国で翻訳され、ブームの一端となった本。ナポレオンがこのパズルを楽しんでいたとされる記述がある。
- タンの8番目の書(1903年・アメリカ・652)
- サム・ロイド著。タングラムの名前の由来に関する有名な話が掲載されている。
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