インフォームド・コンセント
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インフォームド・コンセントについて、日本医師会生命倫理懇談会は1990年に「説明と同意」と表現し、患者の自己決定権を保障するシステムあるいは一連のプロセスであると説明している。1997年に医療法が改正され「説明と同意」を行う義務が、初めて法律として明文化された[2]。
医療法の一部を改正する法律(97年12月17日法律第125号)に基づくインフォームドコンセント義務の第1条の4第2項への挿入は96年12月13日に閣法として第139回国会衆議院本会議に厚生大臣小泉純一郎が趣旨説明を行い審議入りしたが提出年月日は96年11月29日で成立年月日は97年12月9日である。
医療法の一部を改正する法律(1997年法律第125号)
医療法(1948年法律第205号)の一部を次のように改正する
第1条の4中第3項を第4項とし、第2項を第3項とし、第1項の次に次の1項を加える。
2 医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
修正時期は特定出来ないが同条文中の看護婦は以下のように看護師に字句修正されている。
2 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
なお、英語の本来の意味としては「あらゆる」法的契約に適用されうる概念であるが、日本語でこの用語を用いる場合はもっぱら医療行為に対して使用される(#日本語訳の取り組みを参照。医療行為以外については説明責任を参照)。
本項では医療行為に伴うインフォームド・コンセント、特に医師を始めとする医療サービスの提供者(以下、医療従事者)と、患者との間でなされるインフォームド・コンセントについて述べる。
注釈
- ^ 「説明と合意 (informed consent)」と記す場合があれば[6]、「Informed Consent (説明と同意)」と記す場合もある[7]。
- ^ 本書において「インフォームド・コンセント(informed consent 以下、IC と略)」と記している[11]。
- ^ 本人の代理として代理決定をした家族の心理的な負担について、(水野 1990, p. 200-202)。
- ^ 精神疾患患者の自己決定権がどのような要件の下で制約されるか、憲法学からの考察として、竹中勲「精神衛生法の強制入院制度をめぐる憲法問題」『判例タイムズ』第34巻第5号、判例タイムズ社、1983年2月、50-76頁、ISSN 04385896、NAID 40003206077。 を参照。
- ^ エホバの証人の輸血拒否事件を法的パターナリズム論の視点から考察したものとして、以下を参照。中村直美 『エホバの証人の輸血拒否とパターナリズム』。ホセ・ヨンパルト、三島淑臣編 『法の理論』13、成文堂、1993年。
出典
- ^ 川上武『戦後日本病人史』社人法団農山漁村文化協会、2002年、1ページ、ISBN 4-540-00169-8
- ^ a b http://medical.nihon-data.jp/archives/1116
- ^ a b 松井英俊「インフォームド・コンセントの歴史的展開から得られた患者:医療従事者関係の検討」『看護学統合研究』第5巻第2号、広島文化学園大学、2004年3月、70-73頁、CRID 1050577818268303232、ISSN 13460692。
- ^ 五十嵐雅哉「医療におけるパターナリズムが正当化され条件」『日本老年医学会雑誌』第41巻第1号、日本老年医学会、2004年1月、9頁、doi:10.3143/geriatrics.41.8、ISSN 03009173、NAID 10012898485。
- ^ a b c d e 江口聡 著「インフォームド・コンセント: 概念の説明」、加藤尚武・加茂直樹 編『生命倫理学を学ぶ人のために』世界思想社、1998年1月、30頁。ISBN 978-4-7907-0690-8。
- ^ 笹子三津留, 石川勉, 松江寛人, 山田達哉, 木下平, 丸山圭一, 岡林謙蔵, 田尻久雄, 吉田茂昭, 山口肇, 斉藤大三, 小黒八七郎「早期胃癌に対する局所切除」『日本消化器外科学会雑誌』第23巻第9号、日本消化器外科学会、1990年、2194頁、doi:10.5833/jjgs.23.2191、ISSN 0386-9768、NAID 130004116429。
- ^ 井上裕美「―Informed Consent (説明と同意) ―婦人科内視鏡手術とInformed Consent ―“Great expectaion syndrome”とDay surgery」『日本産科婦人科内視鏡學會雜誌』第16巻第2号、日本産科婦人科内視鏡学会、2000年12月、180-185頁、doi:10.5180/jsgoe.16.2_180、ISSN 1884-9938、NAID 10020399469。
- ^ a b 星野一正「インフォームド・コンセント-考え方と実際:第42回日本透析医学会教育講演より」『日本透析医学会雑誌』第30巻第10号、日本透析医学会、1997年10月、1222頁、doi:10.4009/jsdt.30.1219、ISSN 13403451、NAID 10004920752。
- ^ 伊澤純「医療過誤訴訟における医師の説明義務違反(一)」『成城法学』第62号、東京 : 成城大学法学会、2000年7月、41-123頁、CRID 1050001337473596544、ISSN 03865711。
- ^ 水野 1990, p. 61-67,「アメリカのインフォームド・コンセント」節
- ^ a b 一宮茂子「生体肝移植ドナーが経験したインフォームド・コンセント -ドナーインタビューの分析より」『Core Ethics : コア・エシックス』第8号、立命館大学大学院先端総合学術研究科、2012年、53頁、doi:10.34382/00005540、ISSN 1880-0467、NAID 110009426552。
- ^ シンポジウム 第54回人権擁護大会 2011年10月6日 2018年7月8日閲覧
- ^ a b c d 『日本医師会 診療情報の提供に関する指針 第2版』日本医師会、2002年10月。 オリジナルの2019年12月3日時点におけるアーカイブ 。
- ^ 名古屋地裁平成19年6月14日、判例タイムズ1266号、271頁。
- ^ 浅井篤「インフォームド・コンセントの基本」『健康人間学』第16号、京都大学医療技術短期大学部、2004年、11-15頁、ISSN 09163352、NAID 120000896598。
- ^ a b 子どもを対象とする看護研究に関する倫理指針(日本小児看護学会)
- ^ Reference guide to consent for examination or treatment (second edition), イギリス保健省, (2009-08)
- ^ “インフォームドアセントを得ると、児の不安・恐怖は和らぐか? 小児から得るのは同意ではなく「賛意」”. 中外医学社(m3.com) (2021年4月6日). 2021年4月6日閲覧。
- ^ Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse (1996). This page cannot be found (PDF) (Report). World Health Organization. WHO/MNH/MND/96.9。 [リンク切れ]
- ^ 樋澤吉彦「「同意」は介入の根拠足り得るか?:パターナリズム正当化原理の検討を通して」『新潟青陵大学紀要』第5巻第5号、新潟青陵大学、2005年、77-90頁、doi:10.32147/00001138、ISSN 1346-1737、NAID 110007568924。
- ^ a b 2000年2月29日の最高裁判決(平成一〇年(オ)第一〇八一号、第一〇八二号平成一二年二月二九日第三小法廷判決)。
- ^ a b 『判例時報』1629号、34頁。『判例タイムズ』965号、83頁。
- ^ “「患者の権利」の保障は医療現場の改善につながる | TKC全国会 医業・会計システム研究会 | TKCグループ”. www.tkc.jp. 2019年5月25日閲覧。
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