アイシング (治療) 注意点

アイシング (治療)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/09/07 00:55 UTC 版)

注意点

凍傷

アイシングにおいては冷やし過ぎにより凍傷を負う事に注意する必要がある。冷やし過ぎを引き起こす要因には冷却時間・冷却媒体の温度・冷却媒体の種類・患部への圧迫の度合いがある。とりわけ重要なのは冷却媒体の温度である[51]。コールドパックの中には摂氏0℃以下に冷えるものがあるが、そのようなものを使用すると短時間のアイシングであっても凍傷を引き起こす危険があるため、使用時にはタオルで巻くなどの工夫が必要である[52][53]。また、コールドスプレーを長時間至近距離から吹き付ける行為は凍傷を引き起こしやすい。前述のようにコールドスプレーは氷よりもアイシング効果は低いため、患部の深部を冷却しようとすると長時間吹き付けることになるので注意が必要である[54][55]。氷を使用する場合でも、家庭用冷凍庫で作ったものや市販のものは摂氏0℃以下に冷却されている場合があり、そのような場合は氷を水に濡らして表面を溶かすか、水を混ぜて氷水にして対処することが望ましい[56][57]。アイシングをしたまま眠ると凍傷を引き起こす恐れがあるので注意が必要である[58]。アイシングを行う時間の目安はおおむね10-30分である[59]

化膿の防止

皮膚に創傷擦過傷がある場合は傷口から細菌が侵入して化膿を引き起こす恐れがある。化膿を防止するためにアイシングの前に傷口を消毒し、絆創膏を貼ることが必要である[54]

血液循環を促進する行為の禁止

アイシングは血行を抑えるための行為である。そのためアイシングの最中およびアイシング後しばらくの間、血液の循環を促進する飲酒・入浴・過度の運動を行うことは厳禁である[54][60]

その他

皮膚の弱い者がアイシングをする場合にはアンダーシャツの上から行うなどの配慮が必要である[61]。冷却に対する過敏症、冷却による一時的な血行障害を引き起した場合はそれ以上のアイシングを避け、医師の診断を受けることが望ましい。その他、心疾患や局所循環障害を患っている場合にはアイシングは禁物である。[54][62]。また冷湿布については、サリチル酸メチルカンフルなど血行を促進する化学物質が含まれている場合が多い。それらの化学物質は内出血を助長し、腫れや痛みなどの炎症を悪化させる場合があるので注意を要する[9][63]


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注釈

  1. ^ 摂氏0℃の氷の融解熱は79.7cal/gであるのに対し、摂氏0℃以下の氷の温度を1℃上昇させるのに必要なエネルギーは0.5cal/gである
  2. ^ アイシングによる筋肉の緊張の解消とは、筋スパズムの解消のことである。

出典

  1. ^ 深沢2003、115頁。
  2. ^ 深沢2003、114-115頁。
  3. ^ 山本・吉永2001、20-21頁。
  4. ^ 深沢2003、116-117頁。
  5. ^ a b c 山本・吉永2001、14-15頁。
  6. ^ 山本・吉永2001、33-34頁。
  7. ^ 深沢2003、8・10頁。
  8. ^ 山本・吉永2001、84-85頁。
  9. ^ a b c 深沢2003、9頁。
  10. ^ 山本・吉永2001、34-35頁。
  11. ^ 土井良2005、106頁。
  12. ^ 深沢2003、7頁。
  13. ^ 山本・吉永2001、7-9頁。
  14. ^ 山本・吉永2001、29-30頁・88-93。
  15. ^ 深沢2003、6頁。
  16. ^ 深沢2003、6-7頁。
  17. ^ 土井良2005、11-13頁。
  18. ^ 山本・吉永2001、10-12頁。
  19. ^ 山本・吉永2001、12-14頁。
  20. ^ 山本・吉永2001、31-32頁。
  21. ^ 山本・吉永2001、32頁。
  22. ^ 深沢2003、74-75頁。
  23. ^ 山本・吉永2001、85-86頁。
  24. ^ 深沢2003、76-77頁。
  25. ^ 深沢2003、80-81頁。
  26. ^ 山本・吉永2001、59-61頁。
  27. ^ 深沢2003、84-85頁。
  28. ^ 山本・吉永2001、52-53頁。
  29. ^ 深沢2003、88-89頁。
  30. ^ 深沢2003、94-95頁。
  31. ^ 山本・吉永2001、50-51頁。
  32. ^ 山本・吉永2001、61-62頁。
  33. ^ 深沢2003、98-99頁。
  34. ^ 山本・吉永2001、62-77頁。
  35. ^ 深沢2003、32-33・54-55頁。
  36. ^ 山本・吉永2001、57-59頁。
  37. ^ 深沢2003、58-59頁。
  38. ^ 深沢2003、68-69頁。
  39. ^ 深沢2003、70-71頁。
  40. ^ 深沢2003、64-65頁。
  41. ^ 深沢2003、66頁。
  42. ^ 深沢2003、67頁。
  43. ^ 深沢2003、16-17頁。
  44. ^ 深沢2003、24-25頁。
  45. ^ 深沢2003、28-29・42-43頁。
  46. ^ 深沢2003、38-39頁。
  47. ^ 深沢2003、46-47頁。
  48. ^ 深沢2003、50-51頁。
  49. ^ 深沢2003、22-23頁。
  50. ^ 深沢2003、20-21頁。
  51. ^ 山本・吉永2001、78頁。
  52. ^ 深沢2003、9・11頁。
  53. ^ 山本・吉永2001、34頁。
  54. ^ a b c d 深沢2003、12頁。
  55. ^ 山本・吉永2001、80頁。
  56. ^ 深沢2003、11-12頁。
  57. ^ 山本・吉永2001、34頁。
  58. ^ 土井良2005、17頁。
  59. ^ 土井良2005、103頁。
  60. ^ 山本・吉永2001、80-81頁。
  61. ^ 土井良2005、17頁。
  62. ^ 山本・吉永2001、68頁。
  63. ^ 山本・吉永2001、35頁。
  64. ^ 深沢2003、117-119頁。
  65. ^ 山本・吉永2001、24-25頁。
  66. ^ 山本・吉永2001、25頁。
  67. ^ 山本・吉永2001、45頁。
  68. ^ 山本・吉永2001、93-94頁。
  69. ^ 深沢2003、116頁。
  70. ^ 山本・吉永2001、95-96頁。
  71. ^ 深沢2003、52頁。
  72. ^ 深沢2003、52頁。
  73. ^ 山本・吉永2001、97-98頁。





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