2017年の改正民法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 14:30 UTC 版)
2017年の改正民法は履行不能の規定(412条の2)を新設した(2020年4月1日施行)。 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない(412条の2第1項)。 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない(412条の2第2項)。 2017年の改正民法により原始的不能と後発的不能の区別はなくなった。ただし、契約上の債務不履行が契約成立時に履行不能だった場合にその契約が有効であると明言しているわけではない。 履行不能に関しては、債務の履行不能によって債務は消滅するが債務者に帰責事由がある場合には債務消滅の例外として債務者に損害賠償義務を認めていると解する説と、債務の履行が不能でも債務が消滅することはなく履行不能によって生じた損害賠償または履行に代わる損害賠償が請求できると解する説に分かれている。 なお、2017年の改正民法は履行遅滞中の履行不能について判例法理を明文化する規定(413条の2)を新設した(2020年4月1日施行)。 債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる(413条の2)。
※この「2017年の改正民法」の解説は、「債務不履行」の解説の一部です。
「2017年の改正民法」を含む「債務不履行」の記事については、「債務不履行」の概要を参照ください。
- 2017年の改正民法のページへのリンク