2つのモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 11:18 UTC 版)
「ぎょしゃ座イプシロン星」の記事における「2つのモデル」の解説
ぎょしゃ座ε星の観測結果を説明するために、大きく分けて2つのモデルが提唱された。1つは主星を上回る大きさの、外層が半透明な巨大な天体が伴星であるというモデル。もうひとつは伴星が不透明な平べったい円盤型であるというモデルである。 1937年にジェラルド・カイパー、オットー・シュトルーベ、ベンクト・ストレームグレンによって提唱された第一のモデルの難点は、主星を上回る大きさの巨大な半透明な天体を想定すること自体が困難である上に、半透明な物体を通した場合、主星のスペクトルに何らかの変化が見られると予想されるが、そのような事実はない。 1965年に黄授書により提唱された第二のモデルを採用すると、不透明な平べったい円盤型の天体の正体が何であるかが次の問題となる。質量的な面と伴星が観測にかからないという点から、伴星の中心にはブラックホールがあって、その周囲をチリが包んでいるというモデルが提唱された。しかしこのモデルには深刻な欠陥があった。ブラックホールの周囲を巨大なチリの円盤が取り巻いていれば、降着円盤が出来てそこから強力なX線やガンマ線、宇宙ジェットが観測されるはずである。しかしぎょしゃ座ε星ではそのようなものは全く観測されない。そこで伴星は円盤型のチリに包まれた高温の星ではないかという説が考えられた。しかしこの説でも高温の星が見えない事実が説明困難であるという欠陥を抱えていた。円盤型のチリの質量はたかが知れており、必然的に太陽の10倍程度はあるとされる伴星の質量のほとんどを占める高温星が、観測にかからないということの説明が困難であった。
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