鼻音、接近音、その他の音素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 15:20 UTC 版)
「ゴート語」の記事における「鼻音、接近音、その他の音素」の解説
ゴート語は3つの鼻子音をもつ(うち1つは異音である)。それらは相補分布(en)だけで見ることができる。ゴート語の鼻音は、他の多くの言語と同じように、発音は同じ調音部位で行われるため、続く子音のどちらかと同化する。その結果、たとえば[md]と[mb]のような語順は持ち得ない。 [n]・[m]は単語と最小対(ミニマルペア)のどの位置にも現れうる。ただし、特定のコンテクストで中和される。両唇音の前の[n]は[m]に、また歯音の前の[m]は[n]に変化する。 [ŋ]はゴート語においては音素ではなく、位置も自由ではない。これは鼻子音が軟口蓋閉鎖音の前で中和される際に現れ、[n]・[m]とともに相補分布をなしている。ギリシア語の慣例で、これは通常g(時々n)と書かれた。þagkjan [θaŋkjan](英:to think「考える」)、sigqan [siŋkʷan](英:to sink「~を沈める」)、þankeiþ [θaŋkiːθ](英:thinks「彼は考える」)。子音群ggwが意味するのは [ŋgʷ]・[gʷː]である(上述参照)。 [w]は母音の前のwとして転記される。weis [wiːs](英:we「我々」)、twái [twɛː](英:two 独:zwei「2」)。 [j]はそのままjとして転記される。jer [jeːr](英:year 独:Jahr「年」)、sakjo [sakjoː](英:strife「争い」)。 [l]は英語や、多の欧州系言語のように使われる。laggs [laŋks](英:long)、mel [meːl](英:meal 独:Mahl「食事」)。 [r]はふるえ音[r](あるいははじき音[ɾ])である。raíhts [rɛxts](英:right)、afar [afar](英:after)。 共鳴音[l]・[m]・[n]・[r]は音節の核として、語尾の子音、または二つの子音の間で働く(成節子音)。これは現代英語でも見られる現象で、たとえばbottleの発音は、たいていの方言では[bɒtl]である。ゴート語でのいくつかの例)tagl [taγl](英:tail 瑞:tagel)、máiþms [mɛːθm̩s](英:gift)、táikns [tɛːkn̩s](英:token 独:Zeichen 瑞:tecken)、tagr [taγr](英:tear)。
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