鴻海による買収
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:29 UTC 版)
2016年2月4日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープに対し7000億円超での支援の意向を示し、シャープは同日の取締役会で鴻海案を協議した。シャープは当初、官民官ファンドの産業革新機構からの出資を受け入れる方針だったが、支援額を上積みした鴻海案の採用に判断が傾いたと報じられて、翌2月5日には、シャープは鴻海との合意書を締結したと発表した。契約条件について協議を継続することや、鴻海が示した支援策の有効期限を同月末まで延長する内容であった。2月25日には、臨時取締役会で産業革新機構案よりも好条件の鴻海買収案を選択することを決定したが、偶発債務の発覚を理由に鴻海側から、買収契約の保留を受け渡される。最終的に、出資額の減額やリストラの受け入れなどの鴻海側に有利となる契約に改定され、1ヶ月超遅れて買収契約が4月2日に締結されることが、3月30日の鴻海の取締役会で決議された。 鴻海によるシャープ買収は、ここ数年鴻海の成長の鈍化があるともいわれる。2015年12月期の連結売上高(速報値)は前期比6%の4兆4830億台湾ドルであり、目標の10パーセントには届かなかった。 過去には2012年に鴻海がシャープに10%出資する案で合意したものの、その後の株価変動などの理由により中止、翌2013年には高橋興三が社長に就任し銀行からの支援を受けたものの立て直しができなかった。シャープが再建に鴻海案に傾いた理由としては、産業革新機構案が成長性の期待できない液晶事業を分社化し、社長を含む3首脳を退陣させる方針であるのに対し、鴻海案が現経営陣の継続と液晶事業、雇用の維持を約束するものである上に最大で3500億円の産業革新機構の支援に対し鴻海案が7000億円の支援であったことで、社外取締役の一部が革新機構案を選んだ場合に、株主に合理的な説明ができないことなどが指摘される。
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