音程と種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 15:20 UTC 版)
もっとも一般的なサイズのケーナは、全長35~40cm、最低音がソ(アルトリコーダーより1音高い)で、フォルクローレの曲で多く用いられているト長調/ホ短調のメロディーを奏でるのにもっとも都合がよいように調律されている(通称「G管」と呼ぶ)。最高音は理論的には4オクターブまで出るが、通常演奏される曲は概ね3オクターブのド、あるいはレまでの音域である(通常サイズのG管ケーナの場合)。また、半音は、ほとんどの場合、指穴を半分開けることで表現する。そのため、半音が多い曲では正確な音程を確保することは困難が伴う。 通常サイズのG管ケーナを基準として、これよりサイズの小さな高音のケーナをケニージャ、大きなサイズの低音のケーナをケナーチョと呼ぶ。よく使われるのは、G管ケーナより3音低い最低音レのもの(通称「D管」)で、最低音がファのもの(通称「F管」、アルトリコーダーと同じ)も使われることがある。さらに低音域のものとして、通常のG管ケーナより1オクターブ低い(LowG管)ハチャケーナ(ママケーナともいう)が使われることもあるが、広い間隔の指孔をスムースに塞ぐことができる手の大きさが必要とされる。ケニージャの音域は、たいていの場合通常のG管ケーナでカバーできてしまうため、ケニージャが使われる頻度はあまり多くない。 運指はアルゼンチン式とボリビア式に分かれる。日本には、もともとアルゼンチン経由で紹介された経緯があるため、かつてはアルゼンチン式の運指で調律された楽器が多く入っていたが、現在輸入されている楽器はボリビア式の運指で調律されたものがほとんどを占める。ボリビア式は下から3番目の指孔が小さくなっており、シ~ド間が半音となるように作られているため、下から順番に指穴を開放していけばト長調/ホ短調の音階になる(G管の場合、下3つの指孔を開放した音がドとなる)。一方、アルゼンチン式は一番下の指孔と裏孔以外の指孔がほぼ同じ大きさとなっているため、シ~ド間(G管の場合)が半音となる音階とするためには下から2番目の指孔を閉じる必要がある。 指孔の塞ぎ方としては、裏孔を左手親指、表孔の上3つを左手人差し指、中指、薬指、下3つを右手人差し指、中指、薬指で押さえるのが一般的である。以前は、表孔を左手2つ(人差し指、中指)と右手4つ(人差し指、中指、薬指、小指)で押さえる演奏者が一部に存在したが、現在この押さえ方はほとんど使われていない。
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