臨床心理学的地域援助
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 14:46 UTC 版)
臨床心理学における「地域」とは、個々人によって構成される「コミュニティ」を指し、コミュニティには「家族」「友人」「学校」「職場」「社会」などさまざまな次元の社会的集団がある。すなわち、クライエント-臨床心理士間という二者関係における個人援助業務と並行して、当該事例に関わる各コミュニティという集団に対し、おもに心理コンサルテーションや心理教育などを用いて行われるコミュニティ援助業務が臨床心理学的地域援助である。 臨床心理学的地域援助が立脚するコミュニティ心理学や一般システム理論は、個人に注目すると同時に、各コミュニティが本来持っているシステムとしての機能や、さまざまな次元のコミュニティ間の相互関係性を重視している。そのため、コミュニティを構成する個々人や各コミュニティ自体が当該事例へ主体的・支持的に相対し、個人間・コミュニティ間が相互肯定的に影響し合うことによる治療的・予防的機能の回復・維持・向上に主眼を置く。 したがって、臨床心理士は、自らが専門家として前面に出るのではなく、個人間・コミュニティ間において自然にやり取りされるセルフケアとしてのソーシャルサポートの賦活を最優先に考え、臨床心理士自身は連携支援や後方支援を担う社会資源のひとつにしか過ぎないという立場を取る。
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