細胞毒関連遺伝子抗原
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 04:22 UTC 版)
「ヘリコバクター・ピロリ」の記事における「細胞毒関連遺伝子抗原」の解説
ヘリコバクター・ピロリのゲノム中には、「cag pathogenicity island」と呼ばれる領域があり、IV型分泌装置関連遺伝子など30種余りの遺伝子がこの領域に含まれている。細胞毒関連遺伝子抗原はこの領域に含まれる遺伝子の一つ、細胞毒関連遺伝子抗原遺伝子から産生されるタンパク質である。細胞毒関連遺伝子抗原遺伝子を持つピロリ菌株に感染した場合、持たない菌株の感染よりも消化性潰瘍や胃癌になるリスクが高い。東アジア型の菌株の大半が細胞毒関連遺伝子抗原遺伝子を持つ一方で、西洋型菌の細胞毒関連遺伝子抗原保有率は50%程度であり、胃癌発生率の地域差と相関している。 胃の粘膜に取り付いたヘリコバクター・ピロリは、IV型分泌装置を通して細胞毒関連遺伝子抗原蛋白を細胞内に注入する。注入された細胞毒関連遺伝子抗原は宿主細胞内でリン酸化を受け、これまでに少なくとも細胞分裂と細胞接着に影響を及ぼすことが分かっている。
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