第1期国定教科書
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1904年(明治37年)使用開始。教育勅語以後の検定期の教科書と比べると、児童の発達段階も考慮され、各課の内容は主知的、開明的で、全体の基調としては近代的市民的倫理が強調されている。しかし、ヘルバルト主義教育論者からは、その内容が忠孝主義かつ徳目主義に偏っているとの批判がなされ(ヘルバルト主義教育論者は徹底した人物主義教授法により、子どもたちに自然に感動させる修身教育を目指した)、一方で日本主義の論者からは忠孝道徳を軽視していると批判された。 尋常科4年間、高等科2年間にわたる教科書において、主要な道徳として示されているものは163あり、内容のおよその割合は以下の通り。 国家に対する道徳 - 2割 公益・興産および公民の心得など国民の義務に関するものが多い。国体についての道徳は各学年で必ず入っているが、全体の1割に過ぎない。 人間関係についての道徳 - 4割 博愛・親切・正直・人への迷惑の戒めなど社会性の市民倫理を主とするものが多い。水夫虎吉がアメリカの捕鯨船に救われた話(尋常科4年・第18課)や、ナイチンゲール(高等科1年・第25・26課)などの外国人を取り上げて、国際的な博愛を取りあげる課もある。高等科2年・第15課「人身の自由」ではリンカーンの奴隷解放をたたえるなど自由・平等・博愛の思想に基づくものもある。 個人の道徳 - 4割 生活規律・習慣に関するもの、自主的態度に関するものが多い。学問・知識・理性の尊重などがみられる。また、「勤労、勤勉」(高等科2年・第25課)では近代的職業倫理の重要性が示されている。
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