牛の首
牛の首
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/25 04:56 UTC 版)
牛の首(うしのくび)は、古くから伝わる都市伝説の一つである。
概要
「『牛の首』というとても恐ろしい怪談があり、これを聞いた者は恐怖のあまり身震いが止まらず、三日と経たずに死んでしまう。怪談の作者は、多くの死者が出たことを悔い、これを供養するため仏門に入り、人に乞われても二度とこの話をすることは無く、世を去った。この怪談を知るものはみな死んでしまい、今に伝わるのは『牛の首』と言う題名と、それが無類の恐ろしい話であった、ということのみである」というもの [1]。
解説
ここで挙げられている「牛の首」という怪談自体は存在しない。しかしその形骸が「今まで聞いたこともない怖い話」として語り継がれることがこの話の特徴である[要出典]。
超常現象研究家の並木伸一郎は「怖いもの見たさの好奇心が生み出した、幻の都市伝説」と自著の中で述べている[2]。「無類の恐ろしい話」と謳われる怪談の内容を知りたいという好奇心から、次々と噂が流布され、「実態の無い恐怖の増殖」が繰り返されていく様が「牛の首」そのものと言って差し支えない。[独自研究?]
代表的な都市伝説の一つとして語り継がれている。
1965年に執筆された小松左京による同名・同内容の短編小説が存在するため、そこから流布したとする説もあるが[3][4]、小松によれば出版界にもともとそうした小咄があったという[5]。
この小咄を広めたのは、「牛の首」を今日泊亜蘭から聞いて、1973年に世界一怖い怪談として『夕刊フジ』連載のエッセイで紹介した筒井康隆との説もあるが[6]、真偽は定かではない。都市伝説蒐集家の松山ひろしは「作家仲間内のネタが、筒井氏のエッセイをきっかけに世間に広まった」と分析している[7]。
なお、インターネット上には「牛の首の真の内容」と称される話がいくつか出回っているが、いずれも一次資料による裏付けがなく、本物と証明されたものはない。[独自研究?]
小松左京の小説
『サンケイスポーツ』1965年(昭和40年)2月8日号に掲載されたショートショート。『ある生き物の記録』(ハヤカワ・SF・シリーズ、1966年、集英社文庫、1982年)、『鏡の中の世界』(ハヤカワJA文庫、1974年、角川文庫、1978年)、『小松左京ショートショート全集』(勁文社、1995年)、『小松左京全集 完全版 25』(城西国際大学出版会、2017年)他に再録。
- あらすじ
- 怪談好きの「私」は、「牛の首」という恐ろしい怪談がある、という話を聞きつけ、その内容を教えてもらおうとあちこち尋ねてまわるが、誰もが異口同音に「あんな恐ろしい話はきいたことがない」と言うばかりで、内容を話してくれない。そのうちに「私」は真相に気づいて震え上がる。
実在の怪談「牛の首」
都市伝説との関連は不明であるが、同名の「牛の首」という怪談が実在する。大正15年(1926年)刊行の『文藝市場』第2巻第3号に、石角春洋(石角春之助)が父親から聞いた話として同名の記事を執筆している[8]。
関連項目
- くだんのはは
- 件
- 赤い洗面器の男
- ズンドコベロンチョ
- しろうるり
- 鮫島事件 - 2ちゃんねる版の「牛の首」といえる創作
- 空飛ぶモンティ・パイソン 「殺人ジョーク」 - 英軍が「聞いただけで笑い死ぬ話」を開発、兵器化。敵軍のドイツ語に翻訳を試みようとする者らが次々と笑い死にするというスケッチ。
- 内ゲバ - 新左翼の抗争が激化していた頃、革マル派は「ナーバス作戦」として不気味な贈り物を送りつける作戦を始めた。お互いに送りつけるうちに、猫の首、犬の首、牛の首とエスカレートしていったという[9]。
出典
- ^ 並木伸一郎 『最強の都市伝説』 3巻(初版)、経済界、2009年6月、p.108頁。ISBN 978-4-7667-8450-3。
- ^ 並木伸一郎 『最強の都市伝説』 3巻(初版)、経済界、2009年6月、p.110頁。ISBN 978-4-7667-8450-3。
- ^ 松山ひろし『3本足のリカちゃん人形 真夜中の都市伝説』イースト・プレス、p.213
- ^ 宇佐和通 『THE都市伝説』 新紀元社、2004年、p.93
- ^ 小松左京「インタビュー」 『午後のブリッジ―小松左京ショートショート全集』 〈5〉、角川春樹事務所。ISBN 978-4758430739。
- ^ 筒井康隆「恐怖」『狂気の沙汰も金次第』新潮文庫、1976年、p.260
- ^ 松山ひろし 『3本足のリカちゃん人形―真夜中の都市伝説』 イースト・プレス、2003年、p.216
- ^ 【ムー妖怪コラム】娘の死を知らせる牛の首――大正時代の書物から妖怪研究家・黒史郎が幻の妖怪を発掘!、GetNavi web、2016年12月4日。
- ^ 北のりゆき 内ゲバでGO!
牛の首
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牛の首
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 04:21 UTC 版)
「『牛の首』という恐ろしい話があるが、恐ろしすぎて誰も語らない」というもの。その内容を知りたいという好奇心から伝播していく。詳細は「牛の首」を参照
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