準国際私法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 00:40 UTC 版)
準国際私法とは、一つの国家内で異なる内容の法が施行されている地域が存在する国において、これらの異法地域間の私法関係に適用すべき私法を指定する法のことをいう。 今日では一つの国家内には全国的に一つの私法が施行されているのが一般的であるが、地域により異なった法が施行されている場合もないわけではない。例えば、アメリカ合衆国においては、それぞれの州が立法権を有しているため州により法律が異なるし、イギリスでも、イングランド及びウェールズ、スコットランド、北アイルランドなどで法の内容が異なる。そのため、準国際私法という概念が必要になる。 一応、国際私法と区別される概念であるが、問題となる法律関係の解決方法は国際私法と類似の原則が妥当する。そのため、国際私法と準国際私法を区別しないこともある(アメリカ合衆国など)し、区別するとしても国際私法に関する規定を準国際私法に準用することが多い。したがって、実質法には分類されない。 日本国との平和条約発効前の日本においても、台湾や朝鮮半島が日本の領土とされた際に、内地・朝鮮・台湾などについて異なる法令が施行される事態が生じたため、共通法(大正7年法律第39号)が制定され、その2条2項において法例の規定を準用すること等により、異法地域間の法の抵触の解決を図ったことがある。 なお、国際私法は、歴史的に見るとヨーロッパにおいて主権国家内部で地域によって異なる法体系を有している地域相互間の問題と解決するための法規範として発生したが、その後主権国家内部で私法が統一されたため、国家間の私法問題を解決するための法規範として位置づけられるようになったという経緯がある。
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