書史会要とは? わかりやすく解説

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書史会要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/21 03:05 UTC 版)

『書史会要』巻7のパスパ文字

書史会要』(しょしかいよう)は、初に陶宗儀により記された書家の伝記。全9巻からなり、上古から元末に至る書家について記す。

成立

『書史会要』は洪武9年(1376年)に出版された。

のちに、の書家について記した『書史会要続編』1巻が朱謀垔(しゅ ぼういん)によって書かれた。朱謀垔はまた『書史会要』にならって画家の伝記である『画史会要』という書物を著した[1]

構成・内容

原刻本には宋濂序・曹睿序および自序、孫作による陶宗儀の伝記、鄭真による跋が附属している。

9巻のうち最終巻以外の8巻は三皇五帝から代までの書家400人以上についておおむね時代順に記している。正史に載らないような無名の人物が多く、この書によらねば伝記を得ることのできない人物も多い。

巻7のパスパ文字に関する記述は重要な資料である[2]。また、巻8の「外域」では天竺(ランツァ文字)・畏吾児(ウイグル文字)・回回(アラビア文字)・日本などの漢字以外の文字について記している。日本の仮名を漢字でつけた音とともに記しているが、これは外国人が日本語を記した資料としては『鶴林玉露』とならんで時代の早いもののひとつで、日本語学上重視される[3][4]

巻9ではさまざまな書法について記す。

  • 巻1 三皇五帝から秦まで
  • 巻2 漢・三国
  • 巻3 晋
  • 巻4 南北朝・隋
  • 巻5 唐・五代
  • 巻6 宋
  • 巻7 元
  • 巻8 遼・金・外域
  • 巻9 書法
  • 補遺

版本

1376年の原刻本が少数現存する(中国国家図書館台北国家図書館、南京図書館など)。

1929年に原刻本を影印した武進陶氏逸園本が出版された。1984年の上海書店本は武進陶氏逸園本の再刊である。

四庫全書』に収められた版は漢字以外の文字が省略されている。

脚注

  1. ^ 『四庫全書総目提要』巻113・子部23・芸術類2・画史会要5巻「明朱謀垔撰。謀垔既続陶宗儀『書史会要』、因推広其類、采上古迄明能画人姓名事蹟、輯為此編、亦附以画法一卷。成於崇禎辛未。」
  2. ^ 吉池孝一「『書史会要』八思巴字字母表 ―音注惡と梵文 visarga―」『KOTONOHA』第84号、2009年、13-16頁。 
  3. ^ 小川環樹「書史会要に見える「いろは」の漢字対音について」『中国語学研究』創文社、1977年、152-162頁。 (もと1947年)
  4. ^ 有坂秀世「書史会要の「いろは」の音註について」『国語音韻史の研究 増補新版』三省堂、1957年、571-589頁。 (もと1950年)



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