明日香皇女に関する歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/10 10:07 UTC 版)
柿本人麻呂による挽歌が万葉集に残っている。 明日香皇女のきのへの殯宮の時、柿本朝臣人麻呂の作れる歌一首并に短歌飛ぶ鳥の 明日香の河の 上つ瀬に 石橋渡し 下つ瀬に 打橋渡す 石橋に 生ひ靡ける 玉藻もぞ 絶ゆれば生ふる 打橋に 生ひをれる 川藻もぞ 枯るれば生ゆる 何しかも わが王の 立たせば 玉藻のもころ 臥せば 川藻のごとく 靡かひし 宜しき君の 朝宮を 忘れたまふや 夕宮を 背きたまふや うつそみと 念ひし時 春べは 花折りかざし 秋立てば 黄葉かざし しきたへの 袖たづさはり 鏡なす 見れども飽かず 三五月の いやめづらしみ 念ほしし 君と時時 幸して 遊びたまひし 御食向ふ きのえの宮を 常宮と 定めたまひて あぢさはふ 目言も絶えぬ しかれかも あやにかなしみ ぬえ鳥の 片恋嬬 朝鳥の 往来はす君が 夏草の 念ひ萎えて 夕星の か往きかく去き 大船の たゆたふ見れば なぐさむる 情もあらず そこゆゑに せむすべ知れや 音のみも 名もみも絶えず 天地の いや遠長く 偲び行かむ み名に懸かせる 明日香河 万世までに はしきやし わが王の 形見かここを [巻2-196] 短歌二首明日香川しがらみ渡し塞かませば 流るる水ものどかにあらまし [巻2-197] 明日香川明日だに見むと念へやも わが王のみ名忘れせぬ [巻2-198]
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