日本の高山植物相
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日本の高山植物相(にほんのこうざんしょくぶつそう)では、地形、地質や気象と植物との関連、植物の起源と変遷について概説し、またヨーロッパアルプスなど他地域と比較してその特徴を説明する。
注釈
- ^ 当記事で主な参考文献とした柴田 (1985)、増沢 (1997)、工藤岳編著 (2000)、佐藤 (2007)、増沢武弘編著 (2009)、小泉 (2009) 全てでハイマツ帯についての詳細な解説が行なわれている。
- ^ 緯度の高い北海道では本州中部よりも森林限界の標高は当然低くなる。佐藤 (2007) によれば北海道での森林限界は一般的に標高約1500メートルとなる。
- ^ 小泉「日本の山と高山植物」 (2009) によれば、日本列島周辺のジェット気流が強い理由は、寒帯前線ジェット気流とヒマラヤ山脈南方を迂回ながら流れる亜熱帯ジェット気流が、日本列島付近で合流するからであるとする。
- ^ 辻 (1995)、小泉「最終氷期以降の高山・亜高山植生の分布の変遷と現在の高山環境」 (2009) によれば、過去の植物化石や花粉が各地で発掘されるようになり、更に過去の火山活動によって日本列島の広い範囲に降下した広域テフラによって、日本列島の過去の植生についての編年が精度良く行なわれるようになったとする。
- ^ 高山植物学 (2009) によれば、ライチョウも北極周辺を分布の中心として広く分布しているが、日本では本州中部の高山帯にのみ生息している。ライチョウもチョウノスケソウなどと同じく、最終氷期終了後に日本列島の高山に取り残され、本州中部の高山帯のみ約8000年前から5000年前にかけての高温期を生き延びることが出来たものと考えられている。
- ^ 冨士田 (2009) によれば、高層湿原の成立時期は高層湿原の泥炭内から検出された花粉の分析によって明らかになったとする。
- ^ 植田、藤井 (2000) によれば、日本国内とサハリンのヨツバシオガマと千島列島以北のヨツバシオガマの2つに分ける考え方、本州、北海道、北海道以北の3つに分ける考え方、日本とサハリン、千島列島以北、礼文島、本州中部山岳地帯の4つに分類する考え方があった。
- ^ 藤井 (2008) によれば、エゾコザクラは東北地方では南の飯豊山と北の岩木山以外は近接種のヒナザクラが分布している。
- ^ 清水の他に、豊国 (1988) も高山植物574種に関して分布型をまとめている。ここでは佐藤 (2007) が近縁種、近縁種群まで詳細に比較検討したものとして依拠し、高橋 (2000)、中村 (2009)、藤井・池田・瀬戸口 (2009) も用いている清水の分類を基本として説明する
- ^ 梶本 (2000) によれば、ハイマツ分布の中心である東シベリアでは降水量は少ないが、永久凍土によって生育に必要な水分を確保しているとする。
- ^ 門田 (2011) によれば、琉球列島の石灰岩地には亜熱帯性の固有植物が多く見られるなど、日本の石灰岩地は高山に限らず多くの固有種が見られるとする。
- ^ 増沢 (2009) によれば、標高800メートルあまりというアポイ岳に豊かな高山植物相が見られる理由としては、かんらん岩、蛇紋岩地という地質学的な特徴の他に、夏季に濃霧がかかることが多く、日射が遮られるために比較的冷涼な環境であることが挙げられている。
- ^ 佐藤 (2007) ではレブンソウは固有種とするが、「日本の固有植物図鑑」 (2011) では、礼文島、利尻島、知床に分布するとする。ここでは日本の固有植物図鑑の記述を採用した。
- ^ 海老原 (2011) によれば、1位から4位については、1位は小笠原諸島の父島、2位は屋久島、3位が小笠原諸島の母島、4位が奄美大島の湯湾岳周辺となり、島嶼の生態系の重要性を示す結果も出されている。
- ^ 本州中部の高山帯に属する上に石灰岩地でもある北岳は両方に当てはまる。
出典
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