日本と孤児著作物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:15 UTC 版)
「権利の所在が不明な著作物」の記事における「日本と孤児著作物」の解説
現状、日本の著作権法では、権利の所在が不明な著作物の利用に際しては文化庁長官の裁定を仰ぎ、補償金を国庫に供託することで利用が可能となる(第67条)。 現状、日本では裁定は新聞・雑誌・インターネット上などで情報の募集を掲載するなど、権利の所在を探す為に「相当の努力」を行ったにもかかわらず、その所在が掴めなかったと言う場合でなければ受けられない。裁定を求める場合は、文化庁に所定の書類を提出したうえで長官が使用の可否を判断するが、許可された際に支払う補償金の額は文化審議会著作権分科会により決定される。 日本国内の事例 国立国会図書館では、明治期に刊行された蔵書をインターネット上で公開している「近代デジタルライブラリー」に収録予定の書籍について「著作者情報公開調査」を毎年、実施している。2003年(平成15年)度は5万名以上について情報を募集し、権利継承者の連絡先判明は60件・没年判明は532件(内480名が没後50年を経過)という結果であった。翌2004年(平成16年)度は約1500名について情報を募集し、権利継承者の連絡先判明は5件・没年判明は3件(いずれも没後50年を経過)という結果であった。 『薔薇族』で連載していた漫画家、山川純一も本人が名乗り上げておらず、所在を確認できていない。1982年から数作の連載を手がけるも1988年頃から消息不明となる。その後、2003年に「ウホッ!! いい男たち ヤマジュン・パーフェクト(ISBN 4835440676)」などの単行本やグッズも発売されたが、所在が確認できないため印税の支払いはできていない。 2003年(平成15年)12月より、東京都写真美術館で開催されたコンピュータゲームの展示会「レベルX」では、ファミコン用ソフトの全タイトル(1,219タイトル)の上映が企画されたが、メーカーの倒産や社名の変更・他社への事業・権利の譲渡などにより、権利の所在が不明なタイトルが156タイトルに及んだ。そのため、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が情報提供を呼びかけたところ、105タイトルは権利者の所在が判明したが、残り51タイトルについては権利者の所在が判明しなかったため、公開が見送られた。 2015年(平成27年)5月23日、映像コンテンツ権利処理機構の公式サイトの「不明権利者一覧」に、テレビ朝日のテレビドラマ『相棒 season6』に出演していた宝生舞(芸能界引退済み)が掲載された。放送番組の2次利用のため、連絡の取れない出演者として、著作隣接権が絡むためであるが、権利処理機構は6月17日に、「連絡が取れることが分かった」として「不明権利者一覧」から削除された。
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