採集地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/09 13:23 UTC 版)
ウロコフネタマガイが初めて発見された海域は中央インド洋海嶺の「かいれいフィールド」と呼ばれるエリアで、モーリシャスの東南東に位置する。これは3つのプレート(アフリカプレート・オーストラリアプレート・南極プレート)が接するロドリゲス三重点の22km北にあたる。このかいれいフィールドは深度 2420-2450m、2000年に日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)の無人深海探査艇「かいこう」によって発見された熱水噴出孔である。かいれいフィールド周辺には西太平洋と大西洋の生物相が混在しており、ウロコフネタマガイ以外にもアルビンガイのような希少な深海性の貝類が発見されている。そのため、この海域は国際的な研究競争の場となっている。 最初にウロコフネタマガイが発見されたのは2001年4月、アメリカ合衆国の研究チームによるものである。この結果はアメリカの学術誌『サイエンス』に報告された。2002年1月、JAMSTECを中心とした日本のチームが有人潜水調査船「しんかい6500」及び支援母船「よこすか」を用いて海域を再調査し、個体を採取した。2006年には再びJAMSTECや産業技術総合研究所の共同チームが調査を行い、飼育実験などを行っている。 2009年、日本のチームが「かいれいフィールド」の北で新たに発見した「ソリティアフィールド」で白いウロコフネタマガイが採取された。この色は、殻や鱗に硫化鉄を含まないからであり、遺伝的には同種である。また、中華人民共和国のチームが2007年に発見した南西インド洋海嶺「Longqiフィールド」(別名「ドラゴンフィールド」)でもウロコフネタマガイが確認された。実際に生きた標本を初めてここから採取したのは2011年に訪れたイギリスのチームである。2015年の新種記載においてタイプ産地に使われたのはこのドラゴンフィールドで、こちらも遺伝的にはかいれいフィールドやソリティアフィールドのものと同種であることが確認されている。深海の生物相調査は世界各地で行われているが、ウロコフネタマガイは今のところインド洋の熱水噴出域からしか発見されていない。
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