成人細菌性髄膜炎の経験的治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 02:42 UTC 版)
「髄膜炎」の記事における「成人細菌性髄膜炎の経験的治療」の解説
市中発生では数年前まではアンピシリン(ビクシリン)とセフトリアキソン(ロセフィン)であったが耐性菌の増加に伴いカルバペネム系が用いられる傾向がある。この場合はカルバペネム系の単剤療法となる。 パニペネム・ベタミプロン(カルベニン)1回1g、1日4回、合計4g/day(保険適用は2g/dayまで) メロペネム(メロペン)1回2g、1日3回、合計6g/day(保険適応は2g/dayまで) 院内発生や免疫抑制下(50歳以上やアルコール依存者)ではMRSAやリステリアもカバーするため以下の3剤併用とすることがある。なおセフトリアキソン(ロセフィン)はセファチキシム(クラフォラン)1回2g、1日4回、合計8g/day(保険適応は4g/dayまで)に変更可能である。感受性結果で仮にバンコマイシン以外に感受性がなかったとしても、バンコマイシンの単独治療は避ける事が推奨されている。 セフトリアキソン(ロセフィン)1回2g、1日2回、合計4g/day(保険適応は4g/dayまで) バンコマイシン(バンコマイシン)1回0.5g、1日4回、合計2g/day(保険適応は2g/dayまで) アンピシリン(ビクシリン)1回2g、1日6回、合計12g/day(保険適応は4g/dayまで) また抗生物質投与前10~20分または同時投与でデキサメタゾンを投与することがガイドラインでは推奨されている。 デキサメサゾン(デカドロン)0.15mg/Kgで1日6回(36mg/60Kg/day)を2~4日投与 抗菌薬による細菌の融解で細菌の壁産物が放出される。これにより惹起される炎症性メディエイターによるサイトカイン、ケモカイン、酸化窒素の放出を副腎ステロイド薬が抑制することで神経障害が軽減すると考えられている。 抗菌薬の治療中止はガイドライン上は髄液所見が正常化後さらに1週間の投与をしたら終了とされている。髄液細胞50/mm3以下で血清CRP正常化で投与を中止しても再燃しないという報告もある。再発予防としては原因となった疾患(中耳炎、副鼻腔炎、脊椎硬膜下膿瘍、脳室シャント、カテーテル、手術創)などを可能なかぎり治療、除去するといったことである。
※この「成人細菌性髄膜炎の経験的治療」の解説は、「髄膜炎」の解説の一部です。
「成人細菌性髄膜炎の経験的治療」を含む「髄膜炎」の記事については、「髄膜炎」の概要を参照ください。
- 成人細菌性髄膜炎の経験的治療のページへのリンク